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日本の解き方 東海道新幹線〝代替〟が急務に 相次ぐ自然災害による運休 北陸新幹線から新大阪延伸、自民党総裁選で議論すべきだ

zakzak by夕刊フジ / 2024年9月7日 15時0分

東海道新幹線は大雨の影響で東京駅と名古屋駅間の運転を終日取り止めると発表した=30日午前、東京駅(夕刊フジ)

台風10号など、自然災害で東海道新幹線が運休するケースが相次いでいる。北陸新幹線の延伸など、代替路線の整備の必要性について、自民党総裁選でも議論されるべきではないだろうか。

8月末の台風10号は、長期にわたり九州、四国方面にとどまり、海からの風を受けた東海地方などが大雨などの被害に長期間さらされた。筆者もそのあおりを受け大阪へ行き帰るのに大きな制約を受けて、スケジュール調整が大変だった。

自然災害は、人的・経済的に大きな損失をもたらす。このうち「経済被害」とは、住宅や生産設備の毀損(きそん)に伴う資産価値の損失、企業の事業中断による利益の減少、失業による労働者の所得の低下など、さまざまな形で現れる。

わが国における自然災害による被害の内訳を見ると、発生件数は「台風」が6割と最も多く、次いで「地震」が2割、「洪水」が1割程度となっている。他方、被害額は、ひとたび発生すれば広域に甚大な被害をもたらす「地震」が8割超を占めており、次いで「台風」が1割程度、「洪水」が数%の順となっている。

日本の自然災害の発生件数と被害はこの数十年増加傾向である。ただし、人的被害は、大震災の年を除けば微減あるいはほぼ横ばいだ。これは、台風予報がかなり正確に行われるようになったからだろう。

2018年の西日本豪雨の経済被害額は1兆2150億円、19年の東日本台風(台風19号)の経済被害額は1兆8800億円と国交省によって公表されている。これらの被害額はそれまでの過去最高である。

台風などについてみると、大きな経済被害をもたらす1時間降水量50ミリ以上の大雨の発生件数が、この30年間で1・4倍に増加している。

今後も気候変動の影響により、水害が頻発することが懸念される。ある研究によれば、現在より地球の平均気温が約1度低い産業革命前の気候に比べ、極端な降雨の発生確率が67%増えたという。19年の東日本台風については、地球温暖化によって被害額が5000億円増えたとしている。

東海道新幹線の代替として北陸新幹線の必要性は高まっている。ちなみに、今回の台風10号では、筆者は大阪から東京へ帰る際、東海道新幹線が運休だったために北陸新幹線を利用した。今の新大阪―敦賀間が新幹線になれば、どのようなルートでもより便利になる。

北陸新幹線の延伸について、国交省は「小浜ルート」の建設費が従来の2・1兆円から3・9兆円に増えると公表した。費用対効果は「1・1」から「0・5」程度に下がる見込み。「米原ルート」も精査し、建設費は従来の5900億円から1兆円、費用対効果も「2・2」から「1」程度になる見込みとしている。

与党は「小浜ルート」とすることを決めているが、まだ着工されていない。費用対効果では採択基準を満たしておらず、その変更には政治決断が必要だ。まさに、自民党総裁選にふさわしい課題である。 (元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)

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