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ニュース裏表 田中秀臣 中国「デフレ経済」習政権の失政を海外のせいに 主因は消費低迷と不動産不況も 矛先は米国などに…危険な世論形成

zakzak by夕刊フジ / 2024年10月1日 6時30分

中国経済のデフレが深刻だ。消費者物価指数こそ7カ月連続で上昇しているが、それでも8月時点の対前年度比で0・6%でしかない。多少のプラスであっても、この程度ではデフレ経済圏だ。

この中国のデフレ経済化の主因は、消費の低迷と不動産不況の継続にある。中国政府は自動車購入への補助金で消費を下支えしようと必死だ。確かに電気自動車など新エネルギー車(NEV)の販売は、都市だけでなく、地方でも増加基調だ。だが、その他の小売総額は低水準に落ち込んだままである。サービス業や製造業を中心に景況感の悪化は続いている。つまり補助金政策がなければ経済をまともに維持できないのだ。

政府の財政的支援があれば、その支援を受けた業界は短期的に回復するかもしれない。しかし内需を復活させるには力不足だ。いったん政府が財政的支援をやめれば、また元の悪化した水準に戻ってしまう。それだけ中国のデフレ化は深刻なのだ。

たとえば、中国政府は5月に、住宅を購入する際のローン金利の下限の撤廃や頭金の引き下げなどの政策を打ち出してきた。新築住宅の購入促進のためだ。これらの政策は、貸し付ける金融機関側に負担になるので、そこは政府が暗黙の保証をすることになる。また、地方政府が中心になってだぶついていた中古住宅の購入を、低所得層向けに販売するという名目で買い取る政策も打ち出した。

だが、これらの財政的支援は時間がたてば効果が薄れてしまう。動産調査会社の中国房産信息集団(CRIC)によれば、不動産開発大手100社の販売実績は、財政的支援の効果が出た直後こそ大幅に改善していたが、7月に入るとすぐに息切れを起こした。7月は対前年度比19・7%減、そして直近の8月は26・8%の大幅減少である。まったく不動産不況の底がみえない状況だ。

最近では貧困層を対象に給付金をばらまくという。だがこれも消費不況を解消するには遠い内容だ。そもそも日本の経験をみてみると、デフレ不況に陥った理由は、財政政策と金融政策を協調して積極的にやらなかったからだ。いまも日本が完全にデフレを解消できていないのは、安倍晋三政権期の消費増税と金融緩和、そして岸田文雄政権の定額減税と金融引き締めといった、ちぐはぐした政策の結果である。

中国も同様であり、最近、金利引き下げを行ったが、それは大胆な金融緩和といえるものではない。これは習近平政権の失敗以外のなにものでもない。だが、中国国内では、不況は米国など海外勢力のせいだとする論調がある。政権批判をそらすために放置しているのだろうが、きわめて危険な世論形成だ。 (上武大学教授 田中秀臣)

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