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日本の解き方 トランプ氏とハリス氏の対決 米大統領選、テレビ討論会「賭け市場」の動きでは互角 日本の次期首相は「両面待ち」で

zakzak by夕刊フジ / 2024年9月14日 15時0分

米大統領選に向け、民主党のカマラ・ハリス副大統領と共和党のドナルド・トランプ前大統領は10日夜(日本時間11日午前)、初のテレビ討論会で直接対決した。

論戦は経済と物価に関する質問から闘わされた。トランプ氏が、バイデン政権下のインフレを攻めると、ハリス氏はトランプ政権での高い失業率を低下させたと反論した。

ここは、経済学の基本で、『安倍晋三回顧録』にも登場する「フィリップス曲線」(インフレ率と失業率が逆相関)を互いに有利なように主張するだけで、相打ちの形だった。

トランプ氏は、自分ならば失業率を低下させて、同時にインフレ率を高くしなくても解決できたというべきだったが、言えなかったのはややマイナスだった。下がったとはいえインフレ率が高かった理由は、バイデン政権が財政支出をやりすぎたためであるので、そこをトランプ氏は指摘すべきだった。

ちなみに、日本の安倍晋三・菅義偉政権では、インフレ目標を大きく超えるようなインフレ率にならないように財政支出の規模をあらかじめ算出していたので、欧米のようなひどいインフレ率にはならなかった。

その後、移民問題になった。ここはトランプ氏の見せ所だ。ハリス氏の移民政策のブレを指摘し、「自分のMAGA(米国を再び偉大な国にする)帽子をあげたい」などと笑いをとったが、極端な発言もあり、やや空回りだった。

その合間に、ハリス氏は人工中絶問題や議会襲撃問題で細かな得点をあげたようだ。一方、トランプ氏は気候変動問題で得点できなかった。

討論は外交に移った。トランプ氏は、自分が大統領だったらウクライナ侵略はなかったなど従来の主張を行った。ハリス氏は、バイデン政権下でのアフガニスタン撤退について進行役の質問を受けると、「トランプ氏はテロリストのタリバンを(大統領の山荘)キャンプ・デービッドに招待した」と反撃した。

討論全体の印象としては、ハリス氏はトランプ氏の顔を見て批判しつつ、別の話題ではカメラ目線にして大きな手ぶりをするなど表情豊かだった。

これに対してトランプ氏は一貫してハリス氏ではなく常に進行役に向かって話し、あまり表情も豊かではなかった。

両者ともに致命的なミスはなかったのでほぼ互角といってもいいかもしれないが、筆者の目にはわずかにハリス氏が優勢に見えた。

筆者は、討論会を聞きながら「賭け市場」の動きもみていた。討論会の始まる前には、それぞれの勝率はトランプ氏53%、ハリス氏45%だったが、討論会後はトランプ氏49%、ハリス氏49%と互角になった。

トランプ氏とジョー・バイデン大統領ではトランプ氏が優勢だったが、ハリス氏が出てから〝ご祝儀〟でトランプ氏を逆転し、その効果がはげ落ちて再びトランプ氏優位になった。そして今回の討論会ではハリス氏に偏った運営もあり、両者は互角になったとみられる。まれに見る戦いだ。日本としては、どちらが勝ってもうまく対応できる次期首相が必要だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)

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