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葛城奈海 戦うことは「悪」ですか 左派の主張だけ…日ごろから国連の委員にロビー活動 お墨付き得て「日本人の声」として発信される危険 保守側もアピールを

zakzak by夕刊フジ / 2024年11月20日 11時0分

スイス・ジュネーブでの「国連女性差別撤廃委員会」に参加して痛感したことが、「国連幻想からの脱却」以外にもう一つある。

「カウンター・プロパガンダ(=宣伝戦における、相手の宣伝に対抗して行う逆宣伝)の重要性」だ。

皇統問題が国連の意識するところになった背景には、日本の左派からの「御注進」がある。

例えば、ある左派の市民団体が出した意見書には「皇室典範が女性の皇位継承を排除していることは、女性差別撤廃条約1条(女性差別の定義)、2条(締約国の差別撤廃義務)、15条(法の下の平等)に違反する。このような法の規定は性差別主義に根差すものであり、日本社会における女性に対する差別を助長するものである」と書かれている。

正直なところ、「女性が皇位を継げないことが女性差別を助長する」とは、かなり無理のあるこじつけとしか私には思えない。

それを女性差別というのであれば、むしろ、現在の法体系では一般女性が皇族と結婚して皇室に入ることはあるが、その逆はないこと、つまり一般男性が皇族と結婚しても皇室に入ることはあり得ないので、これを男性差別となぜ言わないのか。

話を元に戻すと、女性差別撤廃委員会で扱われていたのは、「選択的夫婦別姓」「包括的性教育」「人工妊娠中絶」「慰安婦」「米軍基地問題」など多岐にわたった。中には、福島第1原子力発電所で発生した汚染水を浄化処理した「アルプス処理水」など、なぜこの委員会で扱う必要があるのか首をかしげるものもあった。

いずれにせよ左派の主張に共通していたのは、「日本はこんなにもひどい国です。国連さん、助けてください」という基本スタンスだ。

左派のNGOの中にはジュネーブに拠点を持つものもあり、参加人数も80人以上(今回の保守側は十数人)と多い。日ごろから委員にロビー活動を行って自分たちの主張を強くアピールしている。

これで保守側が声をあげなければ、左派の主張ばかりが「日本人の声」として広まる。今回のように「勧告」が出されれば、国連のお墨付きを得て、さらに声高に国内外に発信されることになる。

これは、まずい。日本が貶められていくばかりだ。これを阻止するには、保守側も声を挙げ、左派の声だけが日本の民意でないことをしっかりとアピールしなければならない。カウンター・プロパガンダが重要なゆえんである。

■葛城奈海(かつらぎ・なみ) 防人と歩む会会長、皇統を守る国民連合の会会長、ジャーナリスト、俳優。1970年、東京都生まれ。東京大農学部卒。自然環境問題・安全保障問題に取り組む。予備役ブルーリボンの会幹事長。著書・共著に『国防女子が行く』(ビジネス社)、『大東亜戦争 失われた真実』(ハート出版)、『戦うことは「悪」ですか』(扶桑社)、『日本を守るため、明日から戦えますか?』(ビジネス社)。

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