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徹底解説・第6弾 男性更年期 患者はどうやって克服したか 補充した男性ホルモンを上手にキープして効果を持続 高いレベルで一定に保つには…ペースの変更、内服薬の選択肢も

zakzak by夕刊フジ / 2024年9月12日 15時30分

新古賀病院糖尿病・甲状腺・内分泌センター長の明比祐子医師(夕刊フジ)

新古賀病院糖尿病・甲状腺・内分泌センター長の明比祐子医師に聞く

50代のHさんは男性更年期障害の症状に悩んでいた。仕事への意欲は薄れ、業績は振るわず、イライラして家族に八つあたり。腰痛を抱えていたため運動不足にも拍車がかかり、会社からはメタボリックシンドロームの受診勧奨をされていた。

しかし、医療機関を受診する気も起きない。しばらく放置していたが、定年近くなったこともあり、意を決し男性更年期障害外来を訪れた。

診断結果は予想通りの男性更年期障害。保険適用のホルモン補充療法(TRT)を受けたHさんは、気分の高揚を感じた。イライラして落ち込んでいたのがウソだったかのように、仕事への集中力が増して周囲への気配りも戻った。妻に「心配をかけたね。もう大丈夫だよ」と話しかけたほどだった。

ところが、1週間ほど経った朝、起きると気分がすぐれない。はつらつとした気持ちは消えうせ、以前のように全身から疲労感があふれ出すようにつらくなった。

こうしたケースが、TRT治療では起こり得るという。

「保険適用のTRTは4週間に1回、250ミリグラムの筋肉注射が基本です。生物学的な濃度以上にテストステロンを急激に上げるので、効果の実感はとてもよいのですが、1~2週間程度で急に下がってしまうのです」

こう話すのは、新古賀病院(福岡県久留米市)糖尿病・甲状腺・内分泌センター長の明比祐子医師。日本メンズヘルス医学会の理事で、新古賀クリニック(同)の「男性更年期外来」で患者を診ている。

「私の外来ではTRTの高低のギャップを防ぐために、半分の量を2週間に1回注射する方法を採用しています。125ミリグラムを2週間に1回投与することで、テストステロンの急激な増減を減らしているのです」

テストステロン値を高いレベルで一定に保つことが、男性更年期障害の改善・予防につながる。保険適用のTRTも、1回の量を減らして回数を増やすことで、月に1回の注射より、生理的なテストステロン濃度をより長くキープすることが可能だ。ただし、通院回数も増えることになる。

「保険適用外ですが、TRT以外に、男性不妊症で承認されている内服薬クロミフェンが、一部の患者さんにはテストステロンを上げるために役立ちます。1日おきの服用で、脳の視床下部を刺激して、下垂体から分泌される精巣を刺激するホルモン(ゴナドトロビン)を増やすことで、テストステロンの生成を増やすことができます」

間接的な刺激で増やす飲み薬は、TRTと作用機序(メカニズム)が異なるため、テストステロンの急増急減を防いで一定の量をキープすることが期待できるという。また、月1回の受診で済むなど通院しやすくなるのも利点だ。

「過度なストレスでゴナドトロビンの分泌量が減ると、テストステロン値も下がります。その結果、男性更年期障害を引き起こしている場合は、クロミフェンが特に有効ではないかと思います」

薬を上手に使い分けながら、男性更年期障害を克服したい。 (取材・安達純子)

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■明比祐子(あけひ・ゆうこ) 新古賀病院糖尿病・甲状腺・内分泌センター長。1988年大分医科大学卒。福岡大学内分泌・糖尿病内科准教授などを経て、2015年徳島大学先端酵素学研究所糖尿病臨床・研究開発センター客員准教授(兼務)、23年から現職。

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