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マネー秘宝館 世界でもっとも有名な食べ物って? 「それほどでもなかった」ピザが激ウマに登り詰めるまでの興味深い進化過程

zakzak by夕刊フジ / 2024年7月31日 15時30分

世界でもっとも有名な食べ物は何でしょう? ラーメンやハンバーガーも捨てがたいですが、やっぱり「ピザ」でしょうね。うん、そうに違いない。イタリアのナポリ発祥のピザは、いまや世界中で愛されています。定番の具材を使ったピザから地域や旬の具材を用いたオリジナルまでバリエーションも豊富。子供から大人までみんなを笑顔にしています。

誕生の頃、ナポリでもさぞや人気だったかといえば、これがそうでもありません。しばらく「それほどでもない」低評価が続いていました。

18世紀のピザは決してオシャレな食べ物ではなく露店で売られる貧しい者たちの味方。腹のへった荒くれ漁師たちが食べたピザは「マリナーラ」の名になっています。

19世紀になっても状況はあまり変わりません。モールス信号の発明者、モールスは「気分が悪くなるケーキの一種」と書いています。ただこれは「ピザがまずい」というよりは、街中にピザ屋がたくさんあって、「モールスの食べた店がまずかった」ということでしょう。ナポリの街には、たくさんのピザ屋がひしめいていたということですね。

19世紀半ばのエッセーには「ピッツァ・ア・オット」という興味深い表現があります。これは「8日後の支払い」という意味(オットは数字の8)。どうやらカネのない貧乏人にも「8日分のツケ」で食べさせてあげていたようです。ナポリのピザ屋はかくも愛情深かったわけですよ。

ナポリで誕生した頃はそれほどでもなかったピザ、そこからイタリア中に広がるにつれて「だんだんおいしく」なっていきます。観光地化していくイタリアにあって、観光客に喜んでもらえるイタリア名物として、「おいしく・高価に」磨かれていったようです。

そして多くのイタリア移民たちが店を開いたアメリカにて、〝洗練された食べ物〟の座に上りつめていくのは20世紀後半のこと。ピザが高級イタリアン・レストランで出されるオシャレな食べ物になったのは比較的最近のことなのです。

それにしてもこれだけ長い年月にわたり、多くの国で、老若男女に愛され続けてきた料理はほかにありません。そんなピザが私も大の好物です。

最後に、読者の皆さんへとっておきの「ピザ情報」をひとつお教えしましょう。

先日訪れた沖縄・那覇「炭火焼とイタリアンのお店torico」(https://torico.okinawa/)で食べた夏季限定「スモークサーモンと焼レモンのピザ」。これがおいしいのなんの! レモンが夏にピッタリの爽やかさ、しかもサーモンとの相性抜群の美味でした。私はこれが食べたくて沖縄滞在中、連日通ってしまいました。先のモールスもこれを食べていれば「ピザは最高だ」と書いたに違いありません。このピザは夏季限定。夏の沖縄に行かれる方、店主ご夫婦はじめ気持ちのいいスタッフで運営されるこちらの店に立ち寄ってみてください。「夕刊フジを見た」と言えばいいことがあるかも。

■田中靖浩(たなか・やすひろ)  公認会計士、作家。三重県四日市市出身。早稲田大学商学部卒業後、外資系コンサルティング会社勤務を経て独立開業。会計・経営・歴史分野の執筆・講師、経営コンサルティングなど堅めの仕事から、落語家・講談師との共演、絵本・児童書を手掛けるなど幅広くポップに活躍中。「会計の世界史」(日本経済新聞出版社)などヒット作多数。

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