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列島エイリアンズ ヤミ民泊編(3)憧れ「晴海フラッグ」で今起きていること 短期賃貸借どころか又貸しも…巨大な〝ウィークリーマンション〟に?

zakzak by夕刊フジ / 2024年7月17日 6時30分

東京五輪の旧選手村、晴海フラッグで何が起きている?=東京都中央区(夕刊フジ)

東京五輪の選手村を住宅に転用した「晴海フラッグ」(東京都中央区)周辺で報告されている「謎のキーボックス」。この背後には、値上がり期待を抱きながら「短期の不動産賃貸」という建前で、ヤミ民泊営業を繰り返す外国人区分所有者の存在があった。

その1人で取材に応じた在日中国人のW氏によると、グレーな貸借にこだわる理由について、「正規の賃貸では入居者を家主の任意で追い出すことができず、売り時を逸してしまうおそれがあるため」と明かした。

民間に大幅割引で譲渡された元都有地に建つ晴海フラッグは、分譲価格も周辺の相場より割安だった。加えて、転売や賃貸についての制限も課せられなかったことから、投資・投機目的での購入希望者が殺到したことは、各所ですでに指摘されているとおり。こうした市場の歪みや規制のスキマに、ヤミ民泊のようなグレーなビジネスが巣くうのは世の常だ。

一般的な賃貸を避けるのは、W氏のような外国人所有者だけでなく、多くの晴海フラッグの区分所有者にもみられる傾向のようだ。

住宅ジャーナリストの榊淳司氏が話す。

「晴海フラッグの分譲賃貸物件をみてみると、『3年』や『5年』と契約期間に上限を設けて貸し出している定期借家が目立つ。これらのほとんどが、数年後に売却することを前提としたものだと思われます」

さらに、そうした定期借家を食い物にするのが、転貸ヤーだ。

「定期借家物件は、契約期間の上限が定められている一方で、通常の賃貸物件に比べて2割ほど家賃が安い。すると、そこを狙って儲けようとする人たちも出てくる。家賃が割安な定期借家を借り、それを通常の賃貸契約では審査が通らないような第三者に又貸ししたり、ユーチューバーなどに対して撮影場所として有償で提供したりするのです」

晴海フラッグはセキュリティーが売りのタワーマンションだが、こうした状況が続けば、外国人旅行者やユーチューバー、社会的マイノリティーなど、不特定多数が常時出入りする巨大な〝ウィークリーマンション〟と化してしまいそうだ。

=この項おわり

外国人材の受け入れ拡大や訪日旅行ブームにより、急速に多国籍化が進むニッポン。外国人犯罪が増加する一方で、排外的な言説の横行など種々の摩擦も起きている。「多文化共生」は聞くも白々しく、欧米の移民国家のように「人種のるつぼ」の形成に向かう様子もない。むしろ日本の中に出自ごとの「異邦」が無数に形成され、それぞれがその境界の中で生きているイメージだ。しかしそれは日本人も同じこと。境界の向こうでは、われわれもまた異邦人(エイリアンズ)なのだ。

■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。著書に「ルポ 新型コロナ詐欺」(扶桑社)など。

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