1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

森永康平の経済闘論 日本株「史上最高値」の背景 34年半ぶり更新も…依然厳しい国内経済 目先の株高によって政策誤れば真逆の光景に

zakzak by夕刊フジ / 2024年7月11日 6時30分

最高値を更新した日本株(夕刊フジ)

34年半ぶり更新

東証株価指数(TOPIX)がバブル期の1989年12月につけた取引時間中の史上最高値を約34年半ぶりに更新した。春先以降、軟調な展開が続いていた日経平均株価も3月につけた高値を上回り、史上最高値を更新した。

株価指数が節目を通過すると解説を求められることが多いが、その要因は多岐に渡る。そのため、時間や紙幅の制限を考えると網羅的に解説することは難しい。しかし、今回の株価指数の上昇の大きな要因の1つには間違いなく円安が挙げられるだろう。

今月に入りドル円相場は一時1ドル=161円台後半まで値下がりし、約37年半ぶりの円安ドル高水準を更新した。東京商工リサーチによれば、株式上場している主要メーカー109社の2024年度決算の期首の対ドル想定為替レートは1ドル=145円が54社(構成比49・5%)と約半数にのぼっており、多くの企業が今後のドル円相場は円高方向に動くことを想定して保守的な業績予想を出していたことから、このまま円安傾向が続くのであれば、業績が為替差益によって向上し、上方修正する期待が高まったと考える。

また、11月に行われる米大統領選に向けた1回目のテレビ討論会を経て、バイデン大統領の支持率が急落したことも株高の要因になった可能性がある。トランプ前大統領が返り咲いた場合、減税や財政出動により米国経済の拡大が期待される。また、バイデン政権下で進められたインフレ抑制法の進捗(しんちょく)が遅れる可能性もある。これらの要因により金利が高い水準が維持されれば、円安状態が維持されるという見通しが強まったのだろう。

それ以外にも、日本の上場企業が東京証券取引所から「資本コストや株価を意識した経営」の実現に向けた対応を迫られたことから、多くの企業が増配や自社株買いを行ったり、政策保有株の売却を進めることで、企業の資本効率が高まっていることも株高の背景にはある。そこに新NISAによって株式市場に参加した個人投資家が新たな買い手として参加していることも大きい。

日本の株式市場は再び高値を更新する強い展開となってきたが、国内の経済環境は依然厳しい。目先の株高によって政策判断を誤れば、株式市場で見える景色とは真逆の光景が日本経済には現れることには注意しておきたい。

■森永康平(もりなが こうへい) 経済アナリスト。1985年生まれ、運用会社や証券会社で日本の中小型株のアナリストや新興国市場のストラテジストを担当。金融教育ベンチャーのマネネを創業し、CEOを務める。アマチュアで格闘技の試合にも出場している。著書に父、森永卓郎氏との共著『親子ゼニ問答』(角川新書)など。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください