ホンダと日産、経営統合の〝深層〟トランプ・ショックと村上ファンドの影 EV補助金撤廃、追加関税も影響か 「トヨタグループと戦える余地」
zakzak by夕刊フジ / 2024年12月18日 11時50分
大変革期突入
国内自動車大手のホンダと日産自動車が経営統合に向けた協議に入ることが分かった。新設する持ち株会社に2社がぶら下がる形を検討し、将来的に三菱自動車が加わることも視野に入れる。実現すればトヨタグループ、フォルクスワーゲングループに続く世界3位の自動車連合が誕生する。ドナルド・トランプ次期米大統領が関税の強化を打ち出し、自動車メーカーは対応を迫られる。自動車業界は電気自動車(EV)一辺倒ではなく、ハイブリッド車(HV)など多様な技術への投資が求められる大変革期だ。独立路線を貫いてきたホンダと、経営不振が続く日産は生き残りをかけて統合協議入りを決断したとみられる。
ホンダと日産は、今年3月、EV中核部品の駆動装置「イーアクスル」や蓄電池、自動運転向け車載ソフトウエアの開発などで提携の検討を始める覚書を結んだ。8月には提携に三菱自動車も参加していた。
これを統合協議にまで加速させることとなった要因が「トランプ・ショック」だ。トランプ氏は11月、メキシコとカナダからの全輸入品に対する25%関税と、中国への10%の追加関税を行うと表明した。メキシコは日系自動車メーカーの稼ぎ頭である米国市場への一大輸出拠点で、現在の関税負担は原則ゼロだ。
メキシコから1~10月に米国へ輸出した台数は、日産が27万3000台、トヨタ自動車が18万4000台、ホンダも17万4000台にのぼる。トランプ関税が実行されれば生産拠点の移管を含めた新たな投資が必要となる。
トランプ氏はジョー・バイデン政権が打ち出しているEVへの補助金政策を撤廃する可能性もあり、米国市場ではHVなどの優勢が当面続きそうだ。一方で中国市場ではEV化の流れは止まらない。全方位的な戦略が求められる自動車メーカーは、資本力がより重要になっている。
統合協議入りは経営不振の日産を〝救済〟する意味合いも強い。米国市場では、充電の心配がなく日本のお家芸であるHVの需要が急伸し、トヨタ自動車やホンダは収益確保につなげている。一方、EVを優先した日産は、米市場でHVを投入できず、2024年9月中間連結決算の純利益は前年同期比93・5%減と大幅に悪化した。
日産は18年に逮捕されたカルロス・ゴーン元会長時代の拡大路線を修正し、20年に生産能力を2割減らす計画を策定した。業績が回復してきたのを踏まえ、今年3月、3年で販売を100万台増やす計画を示したばかりだったが、今度は業績悪化を受けて11月に世界で9000人を削減する方針を発表し、生産能力の2割縮小も打ち出すなど経営が迷走している。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
生き残りを賭けて日産自動車とホンダ、経営統合に向け協議へ[新聞ウォッチ]
レスポンス / 2024年12月18日 9時0分
-
「THE TIME,」安住紳一郎アナ、ホンダと日産「経営統合」協議に「今、100年に1度の変革期…業界地図がめまぐるしく変わっています」
スポーツ報知 / 2024年12月18日 7時32分
-
「稼げるクルマがない」 日産に求められる社内外での改革
財界オンライン / 2024年12月11日 11時30分
-
「生産能力2割減、9000人の人員削減」日産は復活できるのか…"ルノーとの縁切り"に注力しすぎた経営陣の失敗
プレジデントオンライン / 2024年12月6日 10時15分
-
大失速の日産「ゴーンの呪い」いまだ抜け出せず? V字回復に向けた急務とは
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月28日 5時45分
ランキング
-
1聖籠町死体遺棄事件 1か月前 現場近くでショベルカーを近隣住民が目撃
BSN新潟放送 / 2024年12月18日 12時0分
-
2民間ロケット「カイロス」2号機、打ち上げ失敗 軌道投入できず
毎日新聞 / 2024年12月18日 11時21分
-
3「取り調べを拒否します」と書かれたTシャツを容疑者から取り上げる 差し入れた弁護士が大阪府警に着用許可を求める「表現の自由や黙秘権の侵害」
MBSニュース / 2024年12月18日 10時40分
-
4三宮駅改札前で女性刺した疑い、40代の女を現行犯逮捕 兵庫県警
産経ニュース / 2024年12月18日 13時38分
-
5全身の半分以上をやけど…愛知県西尾市で住宅が全焼 住人の女性死亡 同居する夫は逃げ出し無事
東海テレビ / 2024年12月18日 7時18分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください