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ニュース裏表 峯村健司 中国「反スパイ法」新規定、空港や路上で「個人スマホ検査」強化 日本政府は緩すぎる!台湾は「渡航危険レベル」引き上げ

zakzak by夕刊フジ / 2024年7月13日 10時0分

中国政府の諜報機関、国家安全省の法律執行に関する新しい規定が1日から施行された。最近、企業や官庁などで国際情勢について講演する際、この規定の詳細について質問を受けることが増えたので、本稿でも取り上げてみたい。

今回施行されたのは、「国家安全機関の行政法律執行手続きに関する規定」と「刑事事案処理手続きに関する規定」の2つの規定からなる。昨年7月に改正された「反スパイ法」の実施を補完する規定で、「電子設備、施設、プログラム、ツール」の検査規定が盛り込まれた。

国家安全当局者に加えて、税関の職員にも権限が与えられている。これによって、空港や路上などで当局者が外国人を含めた市民が持っているスマートフォンやパソコンを調べることができるようになる。

筆者も北京特派員時代、デモの現場取材や人権派弁護士らと面会する際、国家安全当局者に拘束されて事情聴取を受けたことがある。最初に当局者が言う指示は決まっていた。

「あなたの持っているスマホとパソコンを見せなさい」

筆者の過去の通話記録やメールのやりとりから、情報源を探る狙いがあったのは明らかだった。危険な現場に行くときには普段使っているスマホを持っていかなかったり、複数のデバイスを使い分けたりして当局側に情報が渡らないように苦慮していた。路上での事情聴取の場合、提出を拒むこともあった。

しかし、今回の規定によって、当局者の指示に従わなければならなくなった。「改正反スパイ法」は、スパイ行為の定義を広げて、「国家の安全と利益」に関わるすべての情報が摘発対象となっており、政治や安全保障だけではなく、経済やエネルギーなどの分野も含まれるようになった。

こうした情報が、日本企業の中国の駐在員や出張者が持っている、すべてのスマホに入っているといっても過言ではないだろう。

こうした中国の引き締めに神経をとがらせているのが、台湾当局だ。中国との窓口となる大陸委員会は新規定について「個人の権益に対する重大な侵害であり、『中華民族の感情を害する』と認定されただけでも違法となる」と指摘。6月27日、香港・マカオを含む中国への渡航注意情報を3番目に危険なレベルである「渡航の是非を検討するように」から、2番目に危険なレベルの「不必要な渡航を避けるよう勧める」に引き上げた。

一方、日本政府の渡航情報の危険レベルは4段階のうちの最低の「レベル1」のままだ。6月24日には江蘇省蘇州で、日本人学校のスクールバスが中国人とみられる男に襲われ、迎えに来ていた日本人の母親と一緒にいた子どもがけがを負う事件が起きている。日本政府の対応は緩いと言わざるを得ない。

そして、不当な拘束や被害に遭わないためにも、中国に進出している日本企業は独自に駐在員や、その家族の安全を確保する措置を取ることが急務といえよう。 (キヤノングローバル戦略研究所主任研究員 峯村健司)

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