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列島エイリアンズ 外国人特別料金編(2)差別ではない根拠、接客に「手間も時間もかかる」という正論〝先進国〟である日本としてはどうか

zakzak by夕刊フジ / 2025年1月8日 6時30分

観光立国としては〝初心者〟の日本(写真と本文は関係ありません)(夕刊フジ)

オーバーツーリズムが社会問題となるなか、その抑制策として各地で導入が議論されている訪日外国人向け二重価格。外国人差別だとして反対する声も根強い。

そもそも国民や市民の共有財産であり、保護や運営にも税金が投入されているような遺跡や公共施設などの入場料や利用料について、共同所有者でも納税者でもない外国人観光客に特別料金を課すことは、理にかなっていると言える。

ただ、日本で議論されている外国人特別料金の導入先は、公共の観光スポットばかりではない。国民や市民の共有資産でもなければ、税金も投入されていない民間事業でも二重価格の設定についての是非が検討され、すでに導入しているホテルや飲食店がある。

外国人観光客と現地の国民の購買力に大きな差がある発展途上国などでは、オフシーズンの宿泊施設で一般料金よりも格安な「国民限定予約プラン」が設定されていることもある。だが、それらは公金が投入されている施策であったり、半官半民の宿泊施設だったりすることがほとんどだ。

飲食店では、外国人用に作られた英語メニューと、現地語のメニューで価格に差があったりすることもあり、外国人だということで気付かないうちにぼったくられることもある。

しかし、一応の〝先進国〟である日本の民間事業に、外国人特別料金を導入する正当性はどこにあるのか。

二重価格の導入を検討しているという都内のバーのオーナーは、「接客コストの違い」を理由として挙げる。

「日本語ができなかったり、文化的な理解に乏しかったりする外国人観光客は、日本人の客と比べて接客に手間も時間もかかる。その分、2割ほどの外国人サーチャージを取るのは差別でもなんでもない」

確かにこれも納得できる説明であり、「外国人差別」というそしりは当てはまらないように思える。

だからと言って、訪日外国人向け二重価格を積極的に取り入れるべきだとは、到底思えない。日本を旅する外国人にとっても、日本人にとっても、良い結果にはならない気がするのだ。次回はその根拠について迫ってみたい。 =つづく

外国人材の受け入れ拡大や訪日旅行ブームにより、急速に多国籍化が進むニッポン。外国人犯罪が増加する一方で、排外的な言説の横行など種々の摩擦も起きている。「多文化共生」は聞くも白々しく、欧米の移民国家のように「人種のるつぼ」の形成に向かう様子もない。むしろ日本の中に出自ごとの「異邦」が無数に形成され、それぞれがその境界の中で生きているイメージだ。しかしそれは日本人も同じこと。境界の向こうでは、われわれもまた異邦人(エイリアンズ)なのだ。

■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。新著「転売ヤー 闇の経済学」(新潮社)=写真=が話題。

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