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肉道場入門! 牛丼チェーン店が「鶏メニュー」拡大のワケ 豚肉価格の高騰で〝庶民の肉〟へシフト 感じられるまだ見ぬ鶏との出会いの兆し

zakzak by夕刊フジ / 2024年11月5日 6時30分

すき家の秋の新商品、やわらかチキンカレー(夕刊フジ)

★絶品必食編

鶏メニューを前面に押し出す店が増えている。三大牛丼チェーンでも吉野家は丼、定食、カレーなどいくつかのスタイルで唐揚げを展開しているし、松屋もカレーに加えて、毎月の期間限定メニューは鶏肉が軸となっている。すき家もこの秋から鶏もも肉を「やわらかチキン」としてリニューアル。完全リニューアルしたカレーとともにCM等でも前面に押し出した。

その背景にあるのは豚肉価格の高騰だ。昭和以降、長らく庶民の味方だった豚肉だが、今年の国産豚肉の相場は過去最高とも言える水準で推移した。

「この20年で見たこともない数字」(畜産関係者)というその理由は、この数年世界の畜産関係者を悩ませている豚熱に加え、夏場の暑さによる出荷頭数減少、海外産品の高騰など豚肉を取り巻く情勢は厳しい。

もちろん牛肉はさらに高い。結果、もうひとつの庶民の肉の鶏肉なら、と飲食店が鶏肉シフトを敷いたのだ。

もっとも鶏肉がリーズナブルな扱いになったのは昭和以降のこと。昭和初頭の昔、鶏肉は豚肉よりも高かったし、明治の頃は牛肉よりも高級な肉だった。

その昔は地方はもちろん、都市近郊でも鶏が飼われていて、行事のときには絞めてごちそうにしたという。家で育てていたり入手できる食材を外で買う。鶏肉を「買う」ということ自体がたいへんなぜいたくだった時代があるのだ。

1950(昭和25)年の新聞4コママンガ『サザエさん』にも家で(おそらくは採卵用に)飼っていた鶏を絞めて、家族で鍋を囲む場面が描かれている。帰宅後、家に漂う匂いを嗅いで「トリのごちそうだな!」と顔をほころばせる波平。今では考えられないほど、鶏肉がありがたがられていた時代があったのだ。対して現代では鶏肉は安定供給される食肉として定着している。

「牛」という字を看板に掲げる牛丼店が今や、鶏シフトを組み、とんかつ店でもチキンカツを手掛けるようになった。牛や豚の肉そば・肉うどんを出す路麺店でも、鶏天うどん・そばに力を入れている。

鶏肉は明治の肉食解禁以前から、日本人がもっとも長く付き合ってきた肉でもある。時代の変わり目、いつも鶏肉はクローズアップされてきた。日本の肉史において、何度目かのまだ見ぬ鶏(メニュー)との出合いの兆しが感じられる。

■松浦達也(まつうら・たつや) 編集者/ライター。レシピから外食まで肉事情に詳しい。新著「教養としての『焼肉』大全」(扶桑社刊)発売中。「東京最高のレストラン」(ぴあ刊)審査員。

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