1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 芸能総合

日本美女目録 草笛光子という女優 映画史に残る名作の片隅に姿あり 実在した市民オーケストラをモデルに楽団員の奮闘と人間模様を描く「ここに泉あり」(1955年)

zakzak by夕刊フジ / 2024年6月18日 11時0分

その美貌で人気も高かった(夕刊フジ)

21日から公開される「九十歳。何がめでたい」で主演する草笛光子。題名と同じ、90歳になる。人気作家、佐藤愛子のベストセラーの映画化だが、とても90歳とは思えない闊達(かったつ)な演技で若者を引っ張っているから驚く。そんな草笛の足跡を振り返る。

まずは名作といわれる「ここに泉あり」(1955年、今井正監督)から紹介する。群馬県に実在した市民オーケストラをモデルに、楽団員の奮闘とさまざまな人間模様をしっかりと描いて秀逸。

日本のクラシック界を牽引(けんいん)した作曲家の山田耕筰とピアニストの室井摩耶子、東京交響楽団が実際に本人役で出演している。その意味でも貴重なフィルムである。

劇の終わりに2年ぶりに群馬に立ち寄った山田が、オーケストラの成長ぶりを見て喜ぶシーンが見る者の心を癒やしてくれる。

草笛は小野冴子という役。出演シーンは多くないのでさほど目立つわけではないが、主役たちをもり立てて脇役に徹している。「水木洋子集 日本シナリオ文学全集9」によると、冴子は33年10月2日生まれの20歳と設定されているそうだ。

看護師役の奈良岡朋子は24歳。だから年の近い冴子とは気が合う設定だ。ちなみにチンドン屋のオヤジ(多々良純)は37歳、美容師の金子の妻(沢村貞子)は45歳という具合に、設定が細かく決まっており、脚本家の水木の繊細さが分かる。

草笛は小さな役だが、主役のかの子を演じた看板女優の岸恵子を目標に、映画史に残る名作の片隅に姿を刻んだのだから、その後の活躍は当然と言っていいだろう。

それにしても、僻地(へきち)にオーケストラが行くにも道路は舗装されておらず、団員も楽器と一緒にトラックの荷台に乗せられていく。雨が降ってもぬれ放題。いかに大変だったかが、しのばれる。

たった8人で立ち上げたこのアマチュアの市民オーケストラ。最初の指揮者は山本直忠。息子の直純は当時まだ12歳だ。ただ劇中で使われた曲は、監督の指示で東京交響楽団の演奏に差し替えられたため、団員は憤慨したという。 (望月苑巳)

■ここに泉あり 1955年2月12日公開。今井正監督、出演は岸恵子、岡田英次、小林桂樹ら。

■草笛光子(くさぶえ・みつこ) 1933年10月22日生まれ、90歳。横浜市出身。50年に松竹歌劇団(SKD)に入団。在籍中の53年、映画「純潔革命」で銀幕デビューも果たした。テレビ黎明期の58年、「光子の窓」で人気を得る。99年に紫綬褒章、2005年には旭日小綬章を受章している。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください