ニュース裏表 峯村健司 沖縄県議選、県政与党が敗北 急ピッチで軍備増強続ける中国に明らかな事実誤認、玉城知事に「NO」 県民の命を守る政策を
zakzak by夕刊フジ / 2024年6月22日 10時0分
沖縄県議選(定数48、16日投開票)で、玉城デニー知事を支持する共産党や立憲民主党などの県政与党が敗北し、過半数を割り込んだ。一方、自民党や公明党、日本維新の会など玉城知事を支持しない勢力が改選前より4議席増やして28議席となった。
「台湾有事」を念頭に、政府は沖縄を含む南西諸島の防衛力整備を進めているが、玉城知事らは県としての協力を拒んでいる。今回の選挙結果は、こうした玉城県政の安全保障に対する姿勢に対し、県民が「NO」を突きつけた、と筆者はみている。
玉城知事は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画に反対している。県内には下地島空港(宮古島市)など、自衛隊や米軍が活用できる施設があるが、県は一貫して利用に反対している。
これについて、玉城知事は昨年7月に訪中する前の中国紙のインタビューに対し、「軍事力増強で抑止力を強めようとするやり方は地域の緊張を激化させ、予測不可能な事態を引き起こしかねない」と説明した。
こうした見解に、筆者は同意できない。
中国の習近平政権は発足した2012年から、政治スローガン「中国の夢」を掲げ、「台湾統一」を目標に急ピッチで軍備増強を続けている。今年1月、中国が「独立分子」と認定する民進党の頼清徳氏が台湾総統選で当選すると、台湾周辺での軍事演習を活発化している。頼政権発足直後の5月23、24両日には、台湾を包囲するように大規模な演習を実施した。
この演習について、玉城知事は耳を疑うような発言をした。
「演習は中国の安全を確保する観点で行われている。中国内の判断と思う」
明らかな事実誤認と言わざるを得ない。
中国政府で、台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室の報道官は今回の演習について、「『台湾独立』勢力の挑発がやまない限り、中国軍の行動は止めない」と説明している。つまり、演習の目的は、台湾への武力を使った威嚇であり、国連憲章にも違反しているのだ。
習政権は台湾への軍事圧力をさらに強めるのは必至だ。そして、その戦域が台湾から100キロ余りしか離れていない先島諸島を含めた南西諸島にも波及する恐れが高まっている。ほとんど進んでいない有事の際の住民の避難計画やシェルターの設置に本格的に着手すべきだ。
今回の県議選を教訓に、玉城知事は「県民の生命と財産を守る」という自治体の最も重要な役割を果たすべきだ。 (キヤノングローバル戦略研究所主任研究員・峯村健司)
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