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森永康平の経済闘論 日銀は政策変更をするのか 日本以外の主要国は「利下げ」に舵切り ジャクソンホール会合で最も注目、パウエル議長の講演

zakzak by夕刊フジ / 2024年8月29日 6時30分

主要な中央銀行の首脳や経済学者が一堂に会した「ジャクソンホール会合」で最も注目を浴びたのは、23日に行われたパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演だった。「政策を調整する時が来た」「方向性は明確である」という2つの発言から、市場は既に織り込んでいたが、9月からFRBが利下げ局面に突入すると改めて確信した市場参加者は多いはずだ。

FRBには「雇用の最大化」と「物価の安定」という2つの目標(デュアル・マンデート)が課せられている。これまでは高止まりするインフレ率を抑えるために急ピッチで利上げをし、その後も金利を高水準に据え置くことで対応してきたが、ようやくインフレ率がFRBの目標とする2%への道筋をたどっていると確信を深めたことで、今後は労働市場を下支えする方向に政策のバランスを調整すると決めたようだ。この決定は事前予想以上に悪化した7月の雇用統計の内容とも整合性がある。

ジャクソンホールには欧州中央銀行(ECB)の政策委員会メンバーも数人出席しており、出席したメンバーの発言に基づけば、ECBもインフレ率が予測に沿って推移する限りにおいては、経済成長の鈍化や労働市場の軟化を背景に、年内に複数回の利下げをすると予想される。

英国、カナダ、ニュージーランド、中国などの主要国は既に利下げをしており、来月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でFRBが利下げをすれば、日本を除く主要国は「利下げ」というかたちで足並みをそろえることになる。

植田和男日銀総裁は衆参両院の閉会中審査に出席するため、ジャクソンホールには出席しなかった。日銀は7月末に追加利上げを決定し、その後の記者会見で利上げを続ける方針を示した。その後の株価急落を受けて内田真一副総裁が火消しとなる発言をしたことで株価は急回復したとの解説が多かったが、私は内田副総裁の発言は表現を変えただけで、実際には植田総裁が示したスタンスとは何も変わらないと当初から指摘していた。

数週間後にその指摘の答え合わせをすることになった。23日に行われた参院財政金融委員会で植田総裁は、金融政策の考え方について「副総裁と違いはない」と述べている。

ジャクソンホールの内容を受けて日銀が政策変更をするかは分からない。しかし、日本における雇用、物価、消費などのデータをみる限りにおいては、考えを変えるに値する状況にあるのではないだろうか。

■森永康平(もりなが こうへい) 経済アナリスト。1985年生まれ、運用会社や証券会社で日本の中小型株のアナリストや新興国市場のストラテジストを担当。金融教育ベンチャーのマネネを創業し、CEOを務める。アマチュアで格闘技の試合にも出場している。著書に父、森永卓郎氏との共著『親子ゼニ問答』(角川新書)など。

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