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ぴいぷる 映画監督・根岸吉太郎 16年ぶり長編「ゆきてかへらぬ」手がける 映画とはまさに人生、心に刺さるシーンを描きたい

zakzak by夕刊フジ / 2025年1月16日 6時30分

映画監督の根岸吉太郎氏=26日午後、東京都港区(相川直輝撮影)(夕刊フジ)

女優の長谷川泰子と詩人の中原中也、そして文芸評論家の小林秀雄。この3人の奇妙な三角関係から生まれる壮絶な愛と青春を描いた「ゆきてかへらぬ」(2月21日公開)で、前作「ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~」(2009年)以来、16年ぶりの長編作品を手がけた。

「不思議な三角関係なんです。非常に個性的な3人がぶつかり合って不思議なひずみが起きて、それが何とも言えない人間の面白さだと思うんです。でもそれって、よく見ていると、自分たちの周りに似たことがあることに気が付くかもしれません」

40年前の脚本を映像化

実は本作の脚本はすでに40年前には存在していたという。「ヴィヨンの妻」でもタッグを組んだ名脚本家、田中陽造の手掛けた本だ。これまで多くの監督が映像化しようとしたが、実現しなかった。それをついに映像化にこぎつけた。

「僕も20年か30年か前に、この脚本をたまたま手に入れたんです。なかなか興味深かったのですが、自分には縁がないと思っていたんで…。でも『透光の樹』(04年)や『ヴィヨンの妻』で田中さんとお仕事をする中で、そういえばあれはどうなったのかなって気になって。この際、やってみようかと…」

とはいえ、事は簡単ではなく、具体的にキャスティングなどを始めたのは5、6年前だ。

「大正ロマン的な時代を撮るには金がかかるということ、そういう時代の物語が受け入れられるかということ、さまざまなハードルがあったからなかなか映像化されなかったんじゃないかな。あとはやっぱり女優だね。長谷川泰子という役を演じられる女優がいるかってことかな」

広瀬すず(26)という存在に出会ったことで話は一気に動き出す。

「彼女のドラマやコマーシャルを見ていて、泰子に重なる印象をみんな持たないでしょう。でも彼女が映画の中でチラッと見せる、鋭い感性みたいなものが必ず泰子につながると思いました。声をかけたら彼女もやるってすぐに言ってくれたし。こんなことを言うと他の女優さんに失礼かもしれないけれど、やっぱり彼女じゃなきゃ、この役はできなかったんじゃないかな。ピッタリはまってたなと思いますね」

中也を演じた木戸大聖(28)にも大きな期待を寄せる。

「広瀬さんや小林秀雄を演じた岡田将生さんに比べたら、彼の役者としてのキャリアは浅いから結構大変だったでしょうが、広瀬さんや岡田さんみたいに非常に有能な役者とぶつかり合って、彼の中に秘められた資質を出せたんじゃないかな。中也という題材に出合い、共演者に恵まれたことで、大きな一歩を踏み出せたと思いますよ」

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