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肉道場入門! 肉の味が濃く圧倒的に旨い 新店とは思えない腰の座ったメニュー 西新宿「焼肉つじむら」の「牛テール」

zakzak by夕刊フジ / 2024年7月30日 6時30分

この数年、東京・新宿界隈に焼き肉の佳店が続々と開店している。先日紹介した「鶴橋焼肉 松よし」からほど近い、西新宿にも最近ちょくちょく足を運んでいる店がある。

昨年4月に開店したこの店には新店とは思えない、腰の座ったメニューがある。

「牛テール」である。といってもスープではない。焼き肉だ。

昔ながらの店で提供されている、機械で骨ごと薄くスライスしたものを焼いて、歯で肉をこそぎながらしがむように食べるタイプではない。きちんと骨から外されて、厚めの焼き肉カットに開かれているのだ。

テールは背骨のような小さな骨が連続していて、そのまわりに筋繊維が密集している。筋肉としてよく動かす部位だから味が濃く、いい塩梅にサシが乗っている。切り出したテール肉を焼き肉にして噛みしめると、細やかな繊維の間から、濃厚な肉汁と豊潤な脂が染み出してくる。

心地よく弾むような弾力と力強い旨味がありながら、筋繊維はより繊細で艶めかしい。「これぞ肉の醍醐味!」と喝采を送りたくなるような肉、それが牛テールという部位なのだ。

が、実は牛テールの焼き肉カットはとても手間がかかる。テールの中心を貫く骨ひとつひとつが複雑な形をしているのだ。

突起がいくつもあり、しかも骨の前側と後ろ側で突起が違う方向に突き出している。焼き肉になるよう切り出すには、細かな包丁さばきが要求される。故に都内でも骨抜きしたテール肉を出す店はとても少ない。

ところが珍しいことに、この店は新規開店当時からこのテールを出してきた。おすすめに「牛テール」の文字を発見したときには欣喜雀躍の心持ち。

「まさか」と思いながらも、喜びと興奮で思わず「このテールはどうカットされていますか」と店のスタッフさんにグイグイ質問して、少々引かれてしまったほどだ。

旨い肉の定義は難しい。僕自身も好きな肉の部位は気分や体調、気候で変わる。だが牛テールという部位は肉の味が濃く、圧倒的に旨い。

西新宿「焼肉つじむら」。新宿という交通至便な街にオープンしたこの若い焼き肉店が、この部位をレギュラーメニューに入れてくれたことに最大級の敬意と賛辞と感謝を申し上げたい。(火曜日掲載)

■松浦達也(まつうら・たつや) 編集者/ライター。レシピから外食まで肉事情に詳しい。新著「教養としての『焼肉』大全」(扶桑社刊)発売中。「東京最高のレストラン」(ぴあ刊)審査員。

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