大人のエンタメ 映画「キリング・フィールド」から学ぶ中国・習近平政権の脅威 毛沢東主義による最大200万人の大量虐殺描く
zakzak by夕刊フジ / 2024年6月19日 6時30分
最近、中国の習近平政権による近隣諸国への覇権主義と浸透工作が、ますますエスカレーションしている。
わが国の尖閣諸島への日常的な領海侵入をはじめ、台湾への軍事的恫喝(どうかつ)、台湾の野党を利用した頼清徳政権への揺さぶり、南シナ海でのフィリピン、ベトナムへの威嚇行為など、それこそ数えあげたらきりがない。
つい先日話題となった日本国内での中国人の傍若無人な振る舞いも、無論それらと連動している。すべて、毛沢東主義者である習主席の思惑から生じていることを肝に銘ずべきだ。
そこで同じ毛沢東主義が、かつて隣国に恐るべき災いをもたらした現代史を映像化した臨場感あふれる傑作映画を紹介し、今の時代と照らし合わせてみよう。
1970年代のカンボジアを舞台とした「キリング・フィールド」(84年)は、カンボジア共産党(ポルポト派)によって首都プノンペンが「解放」された際に起きた革命派による大虐殺を、史実に基づき描いたものである。
物語はニューヨーク・タイムズの記者シャンバーグと現地通訳ガイドとして雇われたディス・プランとの絆を中心に展開していく。
作品が公開された当時、日本の左翼から「共産主義を誤解させる」といった批判を受けたが、国連が支援したカンボジア特別法廷が「ポルポト派」の行った最大200万人ともいわれる大量虐殺を証明しているため、左翼側の同種の革命派弁護論は完全に破綻した。
またポルポト派指導者たちは、すでに終身刑などが確定している。
忘れてはならないのは、ポルポト派が大虐殺を行った背景には中国の毛沢東や文革派の存在があったことである。
映画の中でポルポト派を攻撃してくる戦闘機が出てくるシーンにご注目を。機体に赤い星のマークがはっきりと確認できる。これはベトナム軍を示すマークだが、映画公開時に、その意味を解説する批評はなかった。
当時は、まだベトナムのカンボジア侵攻を批判する中国のプロパガンダが、日本のマスコミに浸透していたせいである。
だが、今ではベトナムがカンボジア国境を越え、ポルポト派を攻撃した理由は明らかだろう。今また毛沢東主義の恐怖が、近隣諸国に迫りつつあるのだ。 (瀬戸川宗太)
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