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日本の解き方 「言うだけ改憲」だった岸田首相 簡単に〝やるやる詐欺〟引っかかる一部保守層も問題だ 次期総裁に引き継がれる重責

zakzak by夕刊フジ / 2024年8月21日 11時0分

自民党の憲法改正実現本部総会に臨む岸田文雄首相(夕刊フジ)

岸田文雄首相は7日、憲法9条への自衛隊明記に意欲を示し、月内の論点整理を指示した。しかし、肝心の岸田首相は14日、自民党総裁選への不出馬を表明した。果たして改憲議論は進むのだろうか。

岸田首相は、今年9月までの自民党総裁任期中の憲法改正を目指していると発言していた。このスケジュールを逆算すると、発議から国民投票まで最低でも60日間必要なので、今年の通常国会の末には発議をしないと9月の党総裁任期満了に間に合わないはずだった。

さらに逆算すると、改正原案は昨年の臨時国会で出されていてしかるべきだったが、衆院の憲法審査会ではスケジュールも示されなかった。もし、憲法改正を本当にやりたいのであれば、少なくとも会期延長して、起草委員会を設置し、改正原案の提示くらいはやっておくべきだった。もしくは、憲法改正について国民に問うために、衆院解散をすべきだったのではないか。

岸田首相は、そうした手順をとらずに、今頃になって、論点整理を指示したのは、憲法改正のやる気を疑われ、単なる総裁選に向けた保守層へのアピールだとみなされた。これは昨年の臨時国会の前に行うべきもので、1年遅れだった。

今年9月までの総裁任期中の憲法改正を目指すと言っていたのだから、それができなかった責任を取る形で首相の職を辞してもおかしくなかった。

結局、8月14日、岸田首相は、総裁選への出馬を断念した。事実上の退陣表明だ。

最近の内閣支持率の水準としては過去のデータからみても、とっくに危険水域だった。14日の表明は遅すぎたと言わざるを得ないが、「新生・自民党を国民の前にしっかり示すことが必要だ。自民党が変わることを示すもっとも分かりやすい最初の一歩は私が身を引くことだ」と述べざるを得なかった。

一部の保守層にも問題がある。憲法改正と聞くと、その具体的な手順・スケジュールなどを問わず、応援したくなってしまう。いわゆる〝やるやる詐欺〟に簡単に引っかかるのだ。

安倍晋三政権でも、憲法改正は進まなかった。リアリストの安倍氏は、政治的なコストパフォーマンスを考えながら、憲法解釈による集団的自衛権の確立などを行ったが、それでは、例えば北大西洋条約機構(NATO)への加盟はできない。

今の国際情勢は、ウクライナ危機を契機として、スウェーデンが180年ぶり、フィンランドが75年ぶりに、それぞれ長年の中立政策を変更しNATO加盟に踏み切った。まさに、今や「100年に一度」の国際秩序の変更が起きている。こうしたときに、日本だけが憲法改正できずに、変われないとしたら問題だろう。

いずれにしても、改憲は、次期自民党総裁選での重要な論点となった。岸田首相は、結局〝にわか改憲論者〟であったことが明らかになったが、次期総裁が憲法改正をまともにやらないと、日本は大変なことになってしまう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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