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ニュース裏表 田中秀臣 〝豹変〟石破首相、反アベノミクスに逆戻りの懸念 財務相に支持者の加藤信勝氏という人選、日銀・植田総裁との会談も利用

zakzak by夕刊フジ / 2024年10月8日 11時0分

石破茂首相の豹変(ひょうへん)ぶりがすさまじい。自民党総裁に選出された直後に日経平均先物が暴落し、円高が急伸するという「石破ショック」が起きた。石破首相が利上げ論者で、また緊縮財政を好む姿勢が、マーケットに完全に嫌われた結果だ。

おそらくこのマーケットの反応や、また今や重要な政治の場になったネットでの石破批判の動きを牽制(けんせい)する目的もあるのだろう。首相の座についてから経済政策を中心にして従来の姿勢を大きく変えた。

内閣では、財務相にアベノミクス支持者である加藤信勝氏をあてた。この人選は予想外だった。反アベノミクスの急先鋒(せんぽう)だった石破首相の豹変第1弾である。もちろん狙いは、マーケットに安心感を与えることだろう。腹心である赤沢亮正経済再生相は、デフレ脱却を優先し「利上げには慎重に」と日本銀行の利上げ路線にクギを刺した。

豹変第2弾は、植田和男日銀総裁との会談を利用したものだった。会談自体は日銀の方針に理解を示す程度の〝なあなあ〟のものだった。最近の植田日銀は、自分たちが招いた「植田ショック」を世界市場の変化の責任にし、次の利上げにはまだまだ時間的余裕があると発言している。だが実際には、総選挙の結果を見届けて、また利上げ路線に戻ろうとしているだけである。日本の経済が良くても悪くても関係なく、利上げありきが今の日銀の方針だ。

会談では、この日銀の姿勢に対して石破首相は批判しなかった。だが、本番はその後だ。記者団の前で「個人的な見解では追加利上げの環境にあるとは考えていない」と明言したのだ。腹心の赤沢大臣の発言とも整合的だ。このような官邸の意見は、政治の顔色を常に見ている日銀の執行部にとっては予想外の圧力になるだろう。マーケットはこの石破発言を好感して、株価が上昇し、円安にもなった。

その後、加藤財務相と赤沢経済再生相が、植田総裁と会合を開いた。当面は、また日銀と政府の協調を唱えるだけだろう。だが、今後も政権側と日銀の腹の探り合いは続くに違いない。

もちろんこの石破首相の豹変はマーケットを意識し、またこれも意見を変えて早期に実施する総選挙に向けた人気取り作戦だ。だがこれだけ豹変したのだから、再び反アベノミクスに戻る可能性もある。そもそも総選挙を今やるのは愚策だ。日本経済の落ち込みを解決するには、一日も早い補正予算の編成が望まれる。だがそれを後回しにするのだから、国民生活を重視していないのは明らかだ。

発足直後の世論の支持率は厳しい数字が出ている。国民は総選挙での審判を待ち構えている。本当に国民の生活を大事にする「豹変」を石破政権に望みたい。 (上武大学教授・田中秀臣)

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