深層韓国 1台のEV出火で業界に大ブレーキ 韓国で拡大「燃えだしたら火が消えない車」の恐怖 被害140台〝誰が補償するのか〟問題に
zakzak by夕刊フジ / 2024年8月9日 6時30分
1台の電気自動車(EV)の火災から、「EV=燃えだしたら火が消えない車」といった恐怖心が、韓国に広がり始めた。EVを生産する現代自動車グループも、車載用バッテリーのメーカーも、このところのEV販売の停滞を「一時的な需要減退にすぎない」と見てきたが、いまや「国内に大型の悪材料が発生した」と緊張しているようだ。
きっかけになったのは、8月1日早朝、仁川(インチョン)市の高層アパートの地下駐車場で発生したEV火災だ。
韓国メディアが防犯カメラの映像をもとに報じたところによると、駐車中のベンツから白煙が噴出したかと思うと、たちまち炎に包まれ、次々と他の車に延焼した。
鎮火までに8時間以上。およそ40台が全焼、100台以上が高熱により電気系統の故障などの被害を受けた。
吹き上がった有毒ガスで20数人が病院に搬送された。さらに5棟140世帯が長時間の停電になった。
問題は、誰が補償するのか定かでないことだ。
最初に出火した車の所有者に、そんな財力があるかどうか。ベンツの韓国販売代理店は当事者能力がないようだし、バッテリーを製造したのは中国メーカー。補償問題はこれから大騒ぎになっていくだろう。
この火災をきっかけに、「地下駐車場へのEV乗り入れ禁止」を、住民が決議する高層アパートも出現した。
韓国政府はEV普及のため、高層アパートの地下駐車場に充電施設の設置を義務付けているが、防火壁のない地下での充電の禁止を求める動きも出てきた。
さらに、走行中の車両運搬車で、搭載していたEVが突然出火し、車両運搬車も燃えてしまう事故が起きた。これも、誰が補償するのか、定かになっていない。車両運搬業者がEVの託送を拒否する可能性まで取り沙汰されている。
日本の一般社団法人「次世代自動車振興センター」のサイトによると、2022年時点で、日本のEV保有台数は約22万台という。日本でEV火災、まして駐車中の自然発火といった報道にはめったに接しない。
一方、韓国のEV登録台数は今年3月末に60万台に達した。そして韓国では23年だけで73件のEV火災が発生した。韓国ならではの事情(K事情)があるのかどうか。
韓国の自動車販売はハイブリッド車を中心に輸出が好調だが、今年上半期の国内販売は前年比10・7%の減だった。とりわけEVの不振が目立つ。
仁川市でのEV火災が、韓国のEV・バッテリー生産業界に、強いブレーキになることは間違いないだろう。
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