1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 芸能総合

ノマドの窓~渡る世間はネタばかり~ 「猫」に関する社会学の書がおもしろい 「猫から見た『サザエさん』」「私たちは猫カフェから何を得ているのか?」

zakzak by夕刊フジ / 2024年9月4日 15時30分

猫好きにはたまらない分析の『猫社会学、はじめます』は筑摩書房刊(夕刊フジ)

『猫社会学、はじめます―どうして猫は私たちにとって特別な存在となったのか?』という単行本が出版された。東京大学大学院人文社会系研究科の赤川学教授が、5人の学者の研究論文をまとめ、ご自身の論文も加えて1冊にしたものだ。と書くと、何やら難しそうだけれど、いやいやなんの、その研究対象が「猫」なんですから、実ににゃんわか(ほんわかを、猫好きはこう言う)とした内容なんです。

(※一部、こりゃさすがに学者さんによる研究報告だなと難解な部分もありますが)。

ひょんなことから赤川先生と知り合い「猫社会学をはじめる前、東大生だった頃はエロスの研究をしてましてね」などというところから敷居が低くなって、その決して気取らない人間性にハマり「僕も猫社会学者になりたい」と思うようになった、という経過がまずありまして。

この本を簡単に紹介しましょう。

たとえば<猫から見た「サザエさん」>という章があります。

これを書いた秦美香子さんは四コマ漫画の「サザエさん」すべてに目を通し、猫が出てくる四コマを取り出して、その中で「磯野家において、猫はどんなふうに描かれているか」を分析しています。

すると、昭和の半ば頃には、日本人の生活において、猫がどんな立場にいたかが明らかになり、時を経るに従って、猫という存在がどう変わってきたかがはっきりして来るんです。

つまり、♪お魚くわえたドラ猫~という時代が本当にあったのはいつ頃で、それから飼い方が変わって、そんな光景を見なくなったのはいつからか、という分析。これが実におもしろいんです。

新島典子さんは、<私たちは猫カフェから何を得ているのか?>と題した論文で〝猫カフェ〟に来る人々を観察し、多くの方と話した上で、人間にとって猫は何のためにそこにいるのかを明らかにしていきます。

柄本三代子さんが研究対象にしたのは〝猫島〟です。今ではかなり知られるようになった猫島の元祖、田代島に行き、どうして人はそこに行くのか、について考えます。これまでにたくさんの猫島を訪れた僕は、ただ好きでそこに行っていただけでしたが「お、そうか、確かに!」という発見がある内容でした。

冒頭にある赤川先生自身の章は<猫はなぜ可愛いのか>です。「ストレートやな。もうちょっとひねったらどう」と僕はツッコんだのですが、いやそこが一番大事なところ。まずはそこからですよね。気になった方はぜひご一読を。

■東野ひろあき(ひがしの・ひろあき) 1959年大阪生まれ、東京在住。テレビ・ラジオの企画・構成(山寺宏一&野沢雅子のFM大阪「ニュー・ノーマル・ライフ」など)、舞台脚本(「12人のおかしな大阪人」など)や演出(松平健とコロッケ「エンタメ魂」など)、ライブ企画&プロデュース(キムラ緑子と大谷亮介の「ドリー&タニーライブ」など)、コメディ研究(著書『モンティ・パイソン関西風味』など)、他幅広く活動。猫とボブ・ディランをこよなく愛するノマド。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください