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日本の解き方 ふるさと納税のポイント禁止 総務省、今度は民間業者を狙い撃ち なぜ目の敵に?まるで「共産主義国」のような行政だ

zakzak by夕刊フジ / 2024年7月4日 11時0分

2022年度のふるさと納税寄付額は9654億円で、23年度は1兆円を超えようとしている。それに水を差すように、総務省は来年10月以降、ふるさと納税のポータルサイトにおけるポイント付与を禁止するとの方針を発表した。制度変更の背景や影響はどうか。ふるさと納税が目の敵にされるのはなぜか。

今回の措置はポータルサイトの経営には打撃だろう。総務省はこれでもかと、ふるさと納税を規制し、これに対し地方自治体は訴訟で対抗してきた。

例えば19年5月、ふるさと納税に関する総務省の指導に従わなかったという理由で、大阪府泉佐野市はふるさと納税の対象から除外された。この件は、国地方係争処理委員会のやりとりにとどまらず、訴訟になった。

同年11月、泉佐野市は総務省の決定を不服として大阪高裁に提訴した。20年1月、大阪高裁は市の訴えを棄却したが、同年2月、市は最高裁に上告し、同年6月、最高裁は高裁判決を破棄し、市の勝訴、総務省の敗訴が確定した。

本コラムの読者であればご存じだろうが、筆者はふるさと納税の創設に関わっている。当初は、返礼品に関する規制はなく、返礼品支出は財政支出なので、総務省が規制するのではなく、各自治体の責任と判断で行うという仕切りだった。

ところが、総務省は19年の地方税法改正において、地方税法37条の2を追加し、返礼品規制を行うようになった。泉佐野市と総務省の訴訟は、その法律に基づく委任について、総務省の告示による指導がその範囲を逸脱したものかどうかが争われた。

結果として、地方税法改正にもかかわらず、それを根拠とする指導が法律の委任範囲を逸脱したと最高裁で判断されたのだ。これは、霞が関官僚にとっては驚天動地の結論だった。それでも、総務省は諦めずに規制を強化している。しかも、地方自治体だと訴訟に負けるので、訴えないだろうと民間ポータルサイトを狙ってきた。

ふるさと納税の本質は、税で集めたカネを配分するという官僚の仕事を奪うもので、創設時から総務省は大反対だった。しかし、多くの国民は支持している。最高裁が下した判断を考えると、ふるさと納税について、総務省はあれこれ口を出すべきでないが、反省していない。

地方行政関係者は冷ややかにみている。総務省のマンパワーでは、1700余の全国市町村のふるさと納税を監視するのは不可能であり、新企画を総務省に照会しても返事がくるのは著しく遅いという。まるで共産主義国のような行政になっている。

ふるさと納税は、ポータルサイトなど民間関連ビジネスが確立し、産業のようになってきて雇用も発生している。それを、法的根拠もあいまいなままで、総務省は民間業者を狙って潰しにかかっている。これは、資本主義の行政として一線を越えているのではないだろうか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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