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年金世代・予備軍「シニアの居場所」 大都市と町村、働き方と年金の意識に違い 東京や大阪のミドルシニアと比べ老後は「年金だけでやっていける」楽観的な雰囲気

zakzak by夕刊フジ / 2024年10月31日 11時0分

(夕刊フジ)

先日、地方の町村在住ミドルシニア会社員の集まりを取材しました。そこで定年退職後の働き方について聞いたのですが、東京や大阪など大都市圏在住の会社員と少し感覚が違うように感じました。老後のことを深刻に考えている人が少なかったのです。

その集まりの人たちは50代半ばで役職定年を迎え、その後60歳で再雇用されるという人が多く、立場は大都市圏の会社員とほとんど変わりません。しかし、東京や大阪のミドルシニア会社員と比べ、老後について楽観的な雰囲気でした。

一回の取材だけで決めつけるのは乱暴かもしれません。集まった人たちの会社がたまたま老後の面倒見がとても良い企業だった可能性もあります。しかし、都市圏で働く会社員と、地方で働く会社員には何らかの意識の違いがありそうです。

内閣府は2024年3月に「生活設計と年金に関する世論調査」を発表しました。この調査では、回答を大都市(政令指定都市と東京都区部)、中都市(大都市を除く人口15万人以上の都市)、小都市(人口15万人未満の都市)、町村で分類しています。ここでは大都市と町村の在住者の答えを比較して先の仮説を考えてみます。

61歳を過ぎても働きたいと答えた人に、その年齢まで働きたい理由を聞いた設問。「生活の糧を得るため」と答えた人の割合(複数回答)は、大都市在住者が74・3%で町村在住者は69・5%。「健康にいいから」と答えた割合は大都市在住者が26・6%で町村在住者は29・3%。「時間に余裕があるから」と答えた割合は大都市在住者が14・5%で町村在住者は18・4%でした。

数字の差はそれほどありませんが、何となく町村在住者の回答の方にゆとりを感じます。

大きな差異が出たのは「(61歳を過ぎても働くのは)職場に頼まれたから」と答えた人の割合です。大都市在住者で6・6%、町村在住者は13・2%でした。これは会社から「そのまま働いてほしい」と言われたということでしょう。人手不足が理由かもしれませんが、町村の人の方が会社から長く働くよう頼まれている人が多いというのはちょっと意外でした。

別の設問では「老後の生活設計の中での公的年金の位置づけ」について聞いています。「全面的に公的年金に頼る」と答えた割合は大都市在住者で25%。町村在住者は29・6%でした。

一方、「公的年金にはなるべく頼らず、できるだけ個人年金や貯蓄などを中心に考える」と答えた人の割合は大都市在住者で13・1%。町村在住者は9・9%でした。

これも大きな数字の差はないものの、町村在住者は年金以外の収入に関しては大都市在住者に比べて関心が低めのようです。

見方を変えれば、「年金だけでやっていける」と考えている人は町村在住者に多く、大都市在住者はとても年金だけに頼れないと考えているようです。

やはり、定年後の生活がより厳しいのは、物価その他が高い大都市圏のサラリーマンOBのようです。

藤木俊明 副業評論家。自分のペースで働き、適正な報酬と社会とのつながりを得ることで心身の健康を目指す「複業」を推奨。著書に『複業のはじめ方』(同文舘出版)など。

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