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極寒のキャンプ…監督がメディアについた“ウソ” 駐車場で自主トレ、新球団の衝撃発進

Full-Count / 2024年6月16日 7時10分

西武でプレーした松沼博久氏【写真:片倉尚文】

■松沼博久氏は新生“西武ライオンズ”に入団…施設がまだ整っていなかった

 環境に驚きの連続だった。野球評論家の松沼博久氏は、「西武ライオンズ」がスタートした1979年に新人王に輝くなど、アンダースローの先発として西武一筋で112勝をマークした。「びっくりしました」。自身と同じ投手で、4歳違いの弟・雅之氏と一緒にドラフト外でプロ入りした1年目の自主トレ、キャンプを回想した。

「まだ球場ができていませんでしたからね。いろんな場所でやるとは聞いていました」と松沼氏。クラウンライターから西武となったライオンズは、本拠地を福岡市から埼玉・所沢市に移転。新スタジアムの西武球場(現ベルーナドーム)は工事で4月の開幕直前まで使えなかった。

 1979年1月に正式契約したルーキーの松沼氏は言うまでもなく、九州からやって来た先輩たちも西武グループの関連施設で始動した。「僕は新人でしたから何も分からない状態です。だから従うしかなかったんですけど」。

 まずは自主トレ。「品川プリンスホテルで着替えました。すぐ近くに高輪プリンスがあって、そこに行くんです。駐車場のような広場でランニングをした記憶がありますね。コンクリートの上だったので、さすがにびっくりしましたけど」。エースの東尾修、変則サウスポー永射保ら主力投手らも参加していた。東京・高田馬場のスポーツジムにも赴いた。「走って、プールもありましたね」。

 フレッシュな西武は行く先々で注目を浴びた。第1次キャンプは西武グループのホテルがある伊豆の下田。最寄りの駅に到着すると、ライオンズのユニホームを着用した市長が出迎えた。歓迎式典も行われ、約2000人の市民が集まった。「華やかではありました。ただ、グラウンドには驚きました」。

 当時の下田の“球場”を松沼氏は、こう表現する。「球場じゃなくて四角いグラウンドでした」。プロ野球のキャンプを受け入れるため、元々は陸上競技場だった施設を改修。左翼が102メートル、センターが95メートル、右翼80メートルとかなり変形していた。「ライト側には海がありました」。観光地らしく風光明媚ではあったのだが……。

■寒かったキャンプ…“見栄”張った根本監督「さすがフロリダ!」

 西武は2月上旬には米国フロリダ州ブラデントン市で第2次キャンプを張った。松沼氏は「嘘をつくのが大変だったんですよ」と思い出し笑いする。一体どういうことなのか。

 キャンプ地と言えば当然ながら温暖な印象しか浮かばない。ましてや米フロリダ州。「でも到着してみたら、寒くて寒くて。縮こまっていたんですよ。あまりに寒くて夜もなかなか眠れなかったぐらい」。ところが、根本陸夫監督は役者だった。「半袖姿になって『さすがフロリダ!』とか仰るんですよ。そうか、プロってマスコミに向かって良い事を沢山言わなきゃいけないのだな、と学びました」。

 内容はどうだったのだろう。「プロの練習といえば、厳しいイメージがあるじゃないですか。ところが、何一つ厳しいのがない。球場の管理が厳しくて朝から晩まで使える環境じゃなかったんですよ。午前中に動いて午後は宿舎に帰るパターンがほとんどです」。

 自身の調整につていも「ブルペンでも投げましたけど、ただ投げたって感じでした」と振り返る。「投内連係とかのメニューもあんまりやった記憶がないですね。ウオーミングアップしてキャッチボール、ピッチングをしたら走って終わり。厳しいという思いは全くないキャンプでしたね」。

 新生ライオンズはフロリダ各地を巡りパイレーツ、ホワイトソックスなどと対戦し、その後はハワイでパドレスと戦った。計19試合のオープン戦で8勝10敗1引き分け。50日間以上の海外滞在を終え、4月3日に帰国した。7日の開幕は目前に迫っていた。

 松沼氏は社会人・東京ガス時代の前年末に結婚したばかり。以降はプロ球団との交渉から入団、そして長期間のキャンプ、オープン戦を過ごした。「僕は新婚さんだったんでけど、その間は奥さんをほったらかし。女房にはいまだにその事を言われます」と頭をかくのだった。(西村大輔 / Taisuke Nishimura)

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