小学生で打球直撃「ボールが怖くなった」 腫れた顔面にトラウマ…事故が生んだ“スーパー捕手”
Full-Count / 2024年4月21日 7時10分
■元西武の高木大成氏は「レオのプリンス」と呼ばれ10年間プレーした
「レオの貴公子」「レオのプリンス」の異名で西武ファンから親しまれた高木大成氏(株式会社埼玉西武ライオンズ事業部部長)は、神奈川の桐蔭学園時代に甲子園で活躍した。慶大でも輝かしい経歴を残し、1995年に西武を逆指名しドラフト1位で入団。10年間プレーした。絵に描いたようなエリートコースを歩んできたが、中学生時代には「忘れもしない」という“ミス”を犯すなど、苦い過去があったことをFull-Countのインタビューで明かした。
東京・八王子市出身で、小学生時代は「八王子リトルリーグ」に所属。6年時には正捕手ながらも、エースが登板しない試合では、高木氏がマウンドに上がっていた。捕手の前は三塁を任されていたが、5年生頃のある出来事をきっかけに守れなくなったという。
「打球がイレギュラーバウンドして、眉間に当たったんです。骨折はしなかったけど、目の周りまで青く腫れてしまって。それ以来、ボールが怖くなって、内野手ができなくなってしまいました。それで捕手になったんです」
後に高校、大学でスーパー捕手として注目される存在になるが、ゴロへの恐怖心による配置転換が捕手としての“始まり”だった。しかし、中学で「八王子リトルシニアリーグ」に所属すると、今度は捕手すらもできなかった。「成長期で左膝が痛くなって、しゃがめなくなったんです。中学の頃はほとんどキャッチャーはやりませんでした」。
捕手ができずに投手、一塁、外野などを守ったが、ゴロへの恐怖心を払拭できたわけではなかった。「今思えば、ゴロを捕るべきポジションで捕れなかったから怖かったんだと思います。バウンドした打球が落ちてくるところや、ショートバウンドで捕ればいいものを、打球が跳ね上がってくる難しいところなど、捕り方を知らなかったからですよね」。持ち前の打力でチームの主軸ではあったが、「特に守るポジションがなかったという感じでした」と苦笑した。
■中学時代は自身の“ミス”で終戦「もっと冷静だったら」
捕手ではなかったものの、主に3番打者として3年時には全国大会にも出場。初戦で敗退して中学野球を終えることになったが「僕の“ミス”で負けたんです。忘れもしないですよ」と今でも脳裏に焼き付いているプレーがある。同点で迎えた最終回、相手の先頭打者の飛球が右翼線へと向かってきた。
「捕れる」。右翼の高木氏はダイレクトキャッチを試みたが、ボールはグラブの下を通過。三塁打となり、その後の打者の犠飛でサヨナラ負けを喫した。「先頭打者だから、無理しないで待って、シングルヒットにして捕っても良かった。ランナーを出したくないと強引にいって逸らして……もっと冷静だったらと思いますよ。未熟でしたよね。中学最後の大会が自分の“ミス”で終わってしまったようなものなので」。今でも悔しそうに振り返った。
結局、ゴロへの恐怖心を完全に克服することなく中学時代を終えた。悩まされた膝痛は治まり、桐蔭学園への進学を契機に捕手へ復帰した。慶大でも活躍したスーパー捕手誕生の“始まり”は、皮肉にも小学生時代に芽生えた「ゴロへの恐怖」だった。(湯浅大 / Dai Yuasa)
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