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3年連続全国出場も…直面した部員数減 強豪監督が学んだ“勝敗以上”の付加価値

Full-Count / 2024年5月30日 7時50分

新潟・五泉フェニックスの吉川浩史監督【写真:チーム提供】

■新潟・五泉フェニックスの吉川浩史監督…「失敗は試合の中では取り戻せない」

 新潟県五泉(ごせん)市の少年野球チーム「五泉フェニックス」を率いる吉川浩史監督は、就任1年目の2010年から2年連続で高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会出場を果たし、3年目の2012年もチームを全国スポーツ少年団軟式野球交流大会出場に導いた。その後、全国の舞台からは遠ざかっているものの、「地域に愛されるチームづくり」を貫いている。Full-Countでは、全国の気になる学童チームの“選手を育てる秘訣”に着目。就任15年目を迎えた吉川監督の指導論に迫った。

 高校までの野球経験があった吉川監督は2007年、長男が所属する五泉フェニックスのコーチに就任した。長男が入団する以前、たまたま学童野球の大会を目にしてレベルの高さに驚いたことがあった。「6-4-3のゲッツーを華麗に決めていて、今の学童野球は私が子どもの頃とは全く違うんだとびっくりしました」。指導者になってからは他チームの試合前の練習を観察し、「真似事」をするところから始めた。

 特に「真似」をしたのがセーフティバントとゴロの捕球。「(右投げ右打ちの選手の場合)バントは右足、左足、バット、右足の順、守備は右足、左足、グラブの順に動かす。そういうリズムを大事にして基本を積み重ねました」。監督になってからもこれらを徹底し、着実に選手の技術を向上させた。

 全国大会に出場したことで、チームのホームページには入団希望の問い合わせが殺到するようになり、ほかの地区から入団するケースも増えた。時には「五泉フェニックスはセレクションをして選手を引き抜いている」などありもしない噂が立つことも。それが原因で部員が減った時期もあったが、だからこそ、吉川監督は「強い、弱いよりも、地域に愛されるチーム、憧れられるチームを目指そう」と考えるようになった。


五泉フェニックスの練習の様子【写真:チーム提供】

■目指すは「新潟県ナンバーワンにふさわしいチーム」

 5年程前までは、大きな声を出して選手を叱ることもあった。だが、経験を重ねる中で「失敗は試合の中で取り戻すことができない。それに、子どもはみんな『はい』と言うけれど、わかっていないことがほとんど」と気づいた。今は選手がエラーした際なども、一人ひとりに合う言葉を選んで対話をするよう心がけている。

 また、練習も効率を重視するようになった。子どもに自主練習を課そうとする保護者もいるが、吉川監督は「練習はうそをつかないけど、効率的にやらないとうそをつく。いい癖の積み重ねは大事だけど、悪い癖の積み重ねは逆効果」と、正しく努力をするよう伝えている。

 監督自身が接し方や考え方を変えたことで、選手たちは野球を楽しみながら勝利を目指すようになった。そんな選手が集まるチームは必然的に「いいチーム」になる。「野球の神様は見ている。全国大会に出るためには、地域に愛されて、ほかのチームからも好かれる、新潟県ナンバーワンにふさわしいチームにならないといけない」。それが吉川監督の貫く信念だ。五泉フェニックスは、6月3日から開催される「少年野球フェスティバル」に登場予定。“愛されるチーム”の練習の一端を披露してくれる。(川浪康太郎 / Kotaro Kawanami)

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