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甲子園4強→“門前払い”で浪人生活 東大合格を掴んだ動機づけ「切り上げるつもりで」

Full-Count / 2024年5月31日 7時5分

東大・松本慎之介【写真:加治屋友輝】

■東京六大学春季リーグデビュー…東京・国学院久我山高出身の松本慎之介投手

 東大は東京六大学野球春季リーグで10戦全敗に終わり、53季連続最下位となった。だが、秋季リーグへ向けて光明がある。2022年春の選抜高校野球で東京・国学院久我山高の全国ベスト4入りに貢献した左腕・松本慎之介投手(1年)がリーグ戦デビューを飾り、本領発揮へ向けて着々と準備を整えているのだ。高校時代にこれほど実績をつくった選手が東大でプレーするのは、極めて珍しい。

 松本は5月25日、立大1回戦で3点ビハインドの8回に3番手としてリーグ戦初登板。1死から味方二塁手の失策で走者を許すも、続く立大の3番・柴田恭佑内野手(4年)を二ゴロ併殺に仕留め、結局この回を3人で片づけた。翌26日の同2回戦でも、5点ビハインドの8回に5番手で連投し、2四球を許したが、ヒットと得点は与えなかった。2試合で計2回無安打無失点。上々のデビューだった。

「緊張よりも興奮の方が強かった」と松本。大久保裕監督は「4月の入学以降、体づくりをしてきて、そろそろできてきたところ。もともと力を持っているので、神宮に慣れれば、たぶんこんなものではない。いい打者との対戦を重ねて、いい投手になっていってもらう」と期待を寄せ、秋季リーグでは先発起用の可能性も「十分あります」と明言した。

 松本が高校時代を過ごした国学院久我山高は「文武両道」を掲げ、都内有数の進学校という一面を持ちつつ、部活動にも力を入れている。狭いグラウンドを他の運動部と共用し、平日の練習時間は3時間程度限定。こうした環境をカバーするために、選手個々が自分の課題に応じてメニューを作成する個別練習を取り入れ、チーム全体で能率的な練習方法を考案し、データ分析にも力を入れている。

 2021年の11月にイチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が同校を訪れ直接指導した際、「全員で考える野球は素晴らしい。実は僕もずっと文武両道っていうのに憧れていたので」と感心したほどだ。

 2022年の選抜大会では、佐賀・有田工高、高知高、石川・星稜高を次々と破り、準決勝まで進出。当時背番号「10」を付けていた松本は、リリーフで4試合中3試合に登板した。


立大戦2試合を無失点に抑えた松本【写真:加治屋友輝】

■高校時代と変わらない“文武両道”「東大以外なら野球はやっていない」

「生物に興味があって農学部に行きたかったのと、頭のいい人たちと一緒に勉強してみたかったので」と、東大の理科二類を志した松本。「現役生の時は共通テストで切られた」と“門前払い”だったというが、「神宮で投げることを“モチベ”(モチベーション)にしながら」猛勉強。1浪で合格を勝ち取った。

 一方、プレーする上で1浪によるブランクは決して小さくない。「浪人中も週1回はジムに通っていたので、そこまでガッツリ筋力が落ちたわけではない」としながらも、「現状は(高校時代の)90%程度。球速のMAXは高校時代の139キロから137キロに、少し落ちています」と明かす。体力を取り戻すことが、活躍の前提条件になる。

 そして「結果に関わらず、浪人は1年間で切り上げるつもりでした」と言い、「東大以外なら、たぶん野球はやっていないです」とも。東大は東京六大学の他大学と比べ、浪人を経ている選手が多く、入部後も研究や勉強に割かなければならない時間が多い。松本は似た環境の選手たちと一緒に、高校時代同様「文武両道」の精神で、レベルアップを計ることになりそうだ。

「自分で試合をつくり、勝てる投手になりたい。そして4年間のうちに優勝したいです」と目標を掲げる松本。来年秋に100周年を迎える東京六大学野球の歴史で、唯一優勝したことがないのが東大だが、高校時代同様、工夫次第で不可能を可能にできることを実証するつもりだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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