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部員数減→合同チーム増…表面化するレベル差 選手の“気後れ”なくす「能力別指導」

Full-Count / 2024年6月12日 7時5分

埼玉・川口市「川口クラブ」の練習の様子【写真:間淳】

■部員274人の中学軟式チーム「川口クラブ」は能力・経験別に3カテゴリーで指導

 野球歴に違いがあっても選手が楽しみや成長を実感し、高校でも競技を続ける選手を増やす仕組みとなっている。埼玉県川口市の中学軟式クラブチーム「川口クラブ」は、「トップ・ミドル・育成」と選手を3つのカテゴリーに分けている。力の拮抗した選手とプレーすることで向上心や自尊心が高まり、練習の効率化にもつながるという。

 川口クラブは川口市内の中学生を中心に274人が所属。中学の部活動を補完しながら、部活動の地域移行に対応する役割を担っている。クラブの特徴には、選手の経験や能力に応じてカテゴリーを3つに分けた運営がある。「トップ」はレギュラー争いがし烈で、大会での優勝を目指す。「ミドル」は自信を深め、トップに上がっていく。「育成」は練習をメインに技術を身に付けて経験を積む方針を掲げている。

 どのカテゴリーに属するのかは選手に希望を聞いた上で、指導者と話し合うケースもある。例えば、トップでのプレーを望む選手に「練習にはついていけると思うけど、試合に出る機会は減るかもしれない。それでも大丈夫?」と確認する時もあるという。川口市立芝東中学の野球部顧問で、川口クラブのGMを務める武田尚大さんが、カテゴリー分けをするメリットを説明する。

「上手い選手は、自分よりレベルの高い選手を知ることで向上心が生まれます。逆に普段の部活で上手い選手に気を使っている選手は、同じレベルの選手たちの中で自信をつけ、主役になるチャンスがあります。部活と川口クラブ、それぞれで学べることがあると思っています。カテゴリーによって課題が違うので、レベルに合った練習を組めるところも良さです」

 川口クラブの選手たちは基本的に中学校の野球部に所属し、部活がない日時にクラブで練習をしている。川口市内の野球部は部員数が減少し、合同チームでの活動が増えているという。試合経験が豊富な選手と、フライ捕球にも苦労するような初心者の選手が同じチームでプレーすると、互いに難しさがある。だが、川口クラブでは能力の近い選手同士で練習するため、部活とは違った目標設定ができる。


打撃練習に取り組む川口クラブの選手【写真:間淳】

■高校野球目指す選手サポート…硬式の練習環境を準備

 中学卒業後に高いレベルを目指す選手には今年度から、硬式に慣れる環境を整える。3年生にとって、部活は6月に開催される大会が最後の舞台。全国大会に進めれば8月まで活動は続くが、選手たちは早ければ6月で引退となる。高校の野球部に入部するまでの約10か月間、自主練習をするしかないのでは、ブランクを不安に感じて中学で野球をやめてしまう可能性もある。

 そこで、川口クラブは市内の高校に協力を求め、グラウンドが空いている時は借りられるように調整を進めている。また、川口市営球場も活用して硬式で練習し、高校に向けた準備期間を設けようとしている。武田GMは「部活動だけでは、一番体が大きくなって伸びる時期に野球をやっていないことになってしまいます。クラブとして選手をサポートしたいと思っています」と話す。

 昨年までの2年間は、東京都江戸川区にある中学生硬式野球クラブ・東京江戸川ボーイズと提携し、部活を引退した川口クラブの3年生が練習に参加していた。ただ、選手の数が増えると指導者の負担は大きくなることから、別の方法でも硬式の練習ができる方法を探した。

「野球部としても、川口クラブとしても、1人でも多くの選手が先のステージまで野球を続けてほしいと思っています」と武田GMは話す。野球の競技人口減少に歯止めをかけるには、少年野球と高校野球の橋渡しとなる中学生の軟式野球が担う役割は大きい。(間淳 / Jun Aida)

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