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育成出身24歳が掴んだ“ワンチャンス” こだわった「結果」、汚れたユニに咲いた花

Full-Count / 2024年6月16日 8時30分

オリックス・茶野篤政【写真:北野正樹】

■オリックス・茶野篤政「とにかく結果を」

■オリックス 9ー3 ヤクルト(15日・京セラドーム)

 訪れたチャンスを無駄にしなかった。オリックスの茶野篤政外野手が15日のヤクルト戦(京セラドーム)に「1番・右翼」でスタメン出場し、3打数3安打1打点、2盗塁と結果を残した。この日、今季2度目の1軍昇格となった24歳は「とにかく結果を出すことだけを考えて試合に入りました」と静かに胸中を燃やしていた。

 すぐさま存在感を示した。初回、先頭打者で打席に入るとファウルで粘った9球目をショートに転がした。全力疾走で最後は決死のヘッドスライディング。一塁塁審は両手を大きく開き「セーフ」の判定だった。懸命に滑り込んだ茶野は、ずれたヘルメットが視界を遮り、一瞬だけ前が見えなかった。

「本当になんとか結果を出したい中でのプレーでした。当たりは良くなかったんですけど、セーフになれたら……と思って走りました。とにかく必死に食らいついた結果、出塁できたのでよかったです」

 初回こそは得点に結びつかなかったが、3回無死一塁で迎えた第2打席は一塁方向へ送りバントを決め、タッチでアウトを奪おうとしたヤクルト・オスナと“追いかけっこ”。目の前のプレーを冷静に判断できる“余裕”があった。

「1軍では本当に久しぶりの試合だったので、この試合で結果を出して、次に繋げていければいいなと思っていました。今日は本当に……。自分が結果を出すことだけを考えていたので、結果的にチームが勝ててよかったです」

 4回2死で迎えた第3打席で中安打を放つと、6回1死三塁の第4打席でも打球をセンターに運び、貴重な追加点を奪った。先発全員安打となる19安打9得点を牽引。昇格即、お立ち台で笑顔を見せた。苦しんだ“若武者”が、スポットライトを浴びた瞬間だった。

■「思った通りにバットが出てこなかった時期もありました」

 不屈の闘志で、突き進む。茶野は滋賀県東近江市出身。岐阜・中京高、名古屋商科大、四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスを経て、2022年育成ドラフト4位でオリックスに入団した。新人年だった昨季開幕直前に支配下選手登録を勝ち取り、背番号は「033」から「61」となった。

 昨季は91試合に出場してチームの3連覇に貢献したが、昨年9月20日の夜に「思い切った決断」を下した。無心でチームバスに乗り込み、ビールかけに参加せず京セラドームから球団寮に直行。育成出身の茶野は腹を括っていた。「参加したい気持ちはありましたよ。でも、1軍のベンチに入れていなかったので……。次の日は2軍の試合もありましたから」。バスの座席から見た夜景を、今でも覚えている。

 今季は春先から状態が上がらず、苦悩の日々だった。「思った通りにバットが出てこなかった時期もありました。結果が出ないのは自分の実力。練習するしかありませんでした」。5月18日に今季初めて1軍昇格を果たしたが、出場3試合で打率.250。5月31日に再び出場登録抹消となり、ファームで鍛錬を積んだ。

「(ファームで)積極的に打ちに行く中で結果を出せるように心掛けてきました。まだこれからシーズンは続くので、結果にこだわってやっていきたいです」

 ドロドロになったユニホームが、じんわりと輝いていた。(真柴健 / Ken Mashiba)

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