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鬼の形相の名捕手に「すみません」 大舞台でまさかの謝罪…元中日右腕が得た“財産”

Full-Count / 2024年6月28日 7時10分

中日時代の武藤祐太氏【写真提供:産経新聞社】

■元中日、DeNAの武藤祐太さんは2021年限りで現役引退、現在は不動産営業

 中日、DeNAでプレーした武藤祐太さんは、2021年限りで現役を引退し、現在は株式会社リアルの開発事業部で不動産営業を行っている。2010年ドラフト3位で中日に入団。2021年限りでDeNAを戦力外となり引退するまで「あっという間でした」という11年間のプロ生活を振り返った。

 飯能南高からホンダに進み、ドラフト3位で名前が呼ばれた。飛び込んだプロの世界は「みんなやばい。スーパーマンばかりでした」と圧倒された。前年2010年に優勝を果たし、1年目だった2011年にはリーグ連覇を果たすことになるチームは、同年18勝を挙げる吉見一起や、56試合登板で37セーブの岩瀬仁紀らが率先してランニングや練習を行っていた。

「とにかく練習が超厳しくて、ガムシャラでした。でも今思えば、ドラゴンズであれだけの練習をやったので、プロでこれだけできたのかなって思います。それに自分の基礎はあそこでできたので、今野球教室をやっても当時先輩から教えてもらったことを噛み砕いて伝えていますね」。武藤さんの礎が築かれた。

 忘れられないのは、2012年のクライマックスシリーズ(CS)、ファイナルステージ・巨人戦での4連投だ。東京ドームで行われた第3戦、4-4の9回に登板。1点でも失えばサヨナラ負けを喫する緊迫の場面だった。1球目を投じると、捕手の谷繁元信が鬼の形相をしていた。

「ジェスチャーで『もっと腕を振れ』と。1球で怒られたので『すみません』と言ってとにかく一生懸命投げるしかない。2球目を投げたときにうなずいてくれたんです。『それでいいからちゃんと投げろ』という感じで。それが4連投につながったと思います。しかもイニング跨ぎもあって、後にも先にもあれだけです。期待してもらっていたから怒っていただいたと思いますし、谷繁さんと野球ができたのはものすごい財産です」


中日、DeNAでプレーした武藤祐太さん【写真:町田利衣】

■「僕から野球は外せない。スカウトをやってみたい気持ちもあります」

 チームは3連勝からまさかの4連敗で日本シリーズ進出を逃したが、武藤さんにとっては「あれが僕のプロ野球人生で一番調子よかったです」という最高の舞台となった。

 翌2013年にはチームで2番目に多い58試合に登板するなどフル回転も、その後は登板機会を減らし、2017年は1軍出場がなく戦力外になった。「この年1回も1軍に上がっていなかったので、戦力外になるかなとは思っていました。でもまだできると思っていたし、先輩からも諦めるなと言われていたので」。そんな右腕にDeNAから声が掛かった。

 4年間の在籍を経て2021年、横浜スタジアムで行われた中日戦で引退試合が行われた。多くの思い出が詰まった両球団の見守る前で上がった最後のマウンド。「胸を張れるような成績ではないのに、本当に運が良かったと思います」と謙遜するが、どんな場面でも全力で腕を振る“ガムシャラさ”が報われたのだろう。晴れやかにユニホームを脱ぎ、プロ入り時に掲げた「10年間やる」という目標を果たした。

 現在は不動産営業として“第2の人生”を懸命に歩む。一方で「僕から野球は外せないので」といずれは野球界に再び戻ることも思い描く。「学生野球資格回復も行いましたし、2球団でいろいろな選手を見てきて『こういう選手って伸びるんだな』とか思っていたので、スカウトをやってみたいという気持ちもあります」。プロ通算198登板を誇る35歳に広がる未来。そのためにも「まずは今働いているリアルで花を咲かせて、恩返しがしたいです」と言葉に力を込めた。(町田利衣 / Rie Machida)

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