大舞台直前に“異例”…社会人名門のコラボは「1つの使命」 伝えた守備動作の要点
Full-Count / 2024年7月4日 7時50分
■都市対抗に出場するNTT東日本と日本生命が初の合同野球教室を開催
社会人野球のトップレベルを間近に感じられる合同野球教室が6月29日、千葉県船橋市にあるNTT東日本船橋グラウンドで行われ、市内の少年野球チームに所属する小学生107人と保護者などが参加した。今年は今月19日に開幕する都市対抗野球大会は、社会人野球の夏の祭典だ。そのビッグトーナメントで、これまで優勝2回のNTT東日本と、優勝4回の日本生命による合同野球教室は、シーズン中では異例のコラボ企画である。
船橋市教育委員会、アオダモ資源育成の会、さらにエネルギーの補給食を扱う大正製薬の協力も受けて開催された企画で、子どもたちが目を輝かせて「野球を楽しむ」1日を過ごした。
午前中は、名門チームでプレーする社会人野球選手による技術指導。トレーナーの掛け声の下でウオーミングアップを行い、ポジションごとに分かれて指導を受けた。室内練習場では、投手と捕手が主にスローイングについての基本動作を教わった。
笑顔の中にも真剣な表情で、社会人選手の声に耳を傾ける子どもたち。
「キャッチャーはボールの握り替えが大事だよ」
「投球に対して、しっかりと正面に入ろう」
「キャッチングの音を意識して」
捕手の指導では、そんなアドバイスを受けて丁寧にキャッチボールをする姿が多く見られた。西習志野グリーンファイターに所属する投手兼内野手の4年生は、投球時に「体が前にいかないように投げることを教わりました」と言い、「これまでは力んでしまってコントロールが悪くなっていたけど、教わったことをやってみたら力みがなくなって良くなった」とうれしそうに語った。
キャッチボールの指導を受ける小学生たち【写真:佐々木亨】
■ライバルチームの教え方に「気づかされることがあった」
内野手と外野手は屋外での守備練習だ。グラウンドでは、それぞれのポジションで捕球時のグラブの使い方や足の運びなどの基本動作を教わった。一塁の指導を行ったNTT東日本の下川知弥主将は言う。
「右投げなら、打球に対して左足の前で捕るのではなく、正対して捕ること。または、グラブを持つ手は手首にストレスがかからないように、ダラっとした状態にして、リラックスして捕ることを伝えました。それは、一緒に指導した日本生命の選手たちが教えていたことで、僕自身も気づかされることがありましたね」
また、下川主将は野球教室を通じての触れ合いで、思うことがあったという。
「元気にガムシャラにやっている子どもたちを見て、改めて『野球を楽しむこと』の大切さに気づかされました」
参加者全員でロングティーを行った後は、午後からは都市対抗野球大会を目前に控えたNTT東日本と日本生命によるオープン戦が行われた。その真剣勝負では、子どもたちが両ベンチに入って、社会人野球のスピード感と技術をグラウンドレベルで感じた。NTT東日本の平野宏監督は言うのだ。
「地域貢献活動や、シーズンオフには野球教室を開いてきたものの、これまではシーズン中にこのような機会を得ることはありませんでしたし、他チームと合同で野球教室をやることもありませんでした。実際にやらせていただいて、企業間でもいいと思いますが、社会人野球全体でこういった取り組みが、多くの地域で広まっていってほしいと思いました。社会人野球の1つの使命だと思いますし、野球界全体を考えても大きな意義があると思います」
日本生命を率いる梶田茂生監督は「子どもたちも喜んでくれたと思います」と合同企画の意義を感じながら、こう続ける。
「これからさらに、子どもたちが『野球が楽しい』と思ってくれるとうれしいですね」
参加した小学生たちはもちろん、指導する側にも「気づき」や「学び」があった合同野球教室には、野球界に新たな風を吹き込む大きな可能性が詰まっているように感じた。(佐々木亨 / Toru Sasaki)
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