「グラウンドが汚いチームは弱い」 指導歴47年の観察眼…高校野球で“選ばれる”習慣
Full-Count / 2024年7月9日 7時5分
■今春日本一の中学硬式・中本牧リトルシニア…“人間性”に目を配りプロ多数輩出
人間性がチーム力の向上、さらには選手の将来へとつながる。横浜市で活動する中学硬式野球チーム・中本牧(なかほんもく)リトルシニアを指揮して47年目の村上林吉監督は、チーム全体を見渡して選手を観察する。プレー以外の面にも目を向けた指導が、チームづくりの基本となっている。
中本牧リトルシニアは今春、日本リトルシニア全国選抜野球大会で26年ぶりに優勝した。元中日・森野将彦氏や元DeNA・小池正晃氏、楽天・渡辺佳明内野手や西武・渡部健人内野手ら多数のプロ野球選手も輩出している。中学硬式の名門を率いるのは、47年前にチームを立ち上げた村上監督。時代が変わっても指導の軸としてぶれていないのが、人間力の育成だ。
「中学生は技術だけではなく、人間的にも成長が必要な時期です。礼儀や言葉遣い、仲間と力を合わせるチームプレーの大切さなど、繰り返し伝えるべきことがあります」
野球は個の能力が問われる競技だが、チームスポーツでもある。村上監督は周りへの配慮を欠いた行動を取る選手は、プレーにも特徴が表れると長年の経験から確信している。だからこそ、野球に取り組む姿勢、休憩中や移動中の何気ない言動にも目を配る。
「日頃から仲間と上手くやっていないと、プレーの息が合わなくなります。人間性を育てないと強いチームはつくれません。プレー以外の面も見て選手の能力を見極めています」
村上監督は練習中、選手たちとやや距離を取ってグラウンド全体を見渡している。ノックバットを持って選手と向き合うより、何気なく見聞きしたり、俯瞰(ふかん)したりする方が発見は多いという。例えば、グラウンドの草取りや石拾いでも、選手の性格や野球への取り組み方が見える。
「グラウンドをきれいに保っているから、怪我がなく思い切ったプレーができます。当たり前のことをできるのかどうか、人間性が表れます。グラウンドが汚いチームは弱い。チームが1つになっていませんから」
中本牧リトルシニアの村上林吉監督【写真:間淳】
■高校野球や社会人でも生きる礼儀や思いやり…選手の人間力を育成
こうした礼儀や姿勢を中学生の時に身に付けると、高校や社会人で生きてくると村上監督は考えている。仲間と気持ちを1つにして、日々の練習で強みや課題を確認する習慣のある選手は、高校野球で好スタートを切れる。
村上監督は「人間性の優れた中学生は、高校で指導者の目に留まります。突出した力があれば別ですが、人間性に問題があると他の選手から1年は後れを取ります」と指摘する。監督やコーチに評価されなければ、試合に出るチャンスをつかめない。そのためにも、プレー以外の要素が大切になる。
相手を思いやる気持ちや礼儀の必要性はチーム内にとどまらない。村上監督は「野球は礼に始まって、礼に終わるのが基本」と強調する。勝敗に関わらず試合後は相手に感謝し、互いに言葉を交わして関係を深めることが野球の意義。指揮官が語る。
「相手がいなければ試合はできません。試合前や試合後に礼をするのは当然です。高校や大学で野球を続ければ、相手チームの選手が今度はチームメートになるかもしれません。さらに、社会人になった時、再会する可能性もあります。中学時代の対戦が会話のきっかけになるわけです。過去は未来につながっています。だから、礼儀は大切なんです」
人間性を育てなければ、強いチームはつくれない。同時に、礼儀や思いやりは選手の将来に生きる。中学野球界の名将は勝利だけではなく、その先も見据えている。(間淳 / Jun Aida)
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