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日本ハム“出戻り助っ人”がもたらすもの MLBで遂げた進化示す「1.28&2.31」

Full-Count / 2024年7月13日 12時29分

日本ハムのドリュー・バーヘイゲン【写真:球団提供】

■バーヘイゲンは2年間のMLBを経て今季から再び日本ハムでプレー

 2020年から2シーズンにわたって日本ハムでプレーしたドリュー・バーヘイゲン投手が、2024年から再びファイターズのユニホームに袖を通す。NPBでは先発、MLBでは中継ぎとして実績を残してきた剛腕は、最下位からのV字回復を狙うチームにとって大きな補強となりうる存在だ。

 今回は、バーヘイゲンが日米の球界でこれまで残してきた球歴に加えて、投手としての特性をセイバーメトリクスで用いられる各種の指標をもとに紹介。マルチな才能を持つ本格派右腕の古巣復帰が持つ意味について、あらためて確認していきたい。

 バーヘイゲンはタイガースに所属した2014年にMLBデビューを果たすと、2015年には20試合で2勝3ホールド、防御率2.05と好投。2016年は19試合で防御率7.11と安定感を欠いたが、その後も世界最高峰の舞台でコンスタントに登板を重ねた。

 2020年から日本ハムに活躍の場を移すと、リリーフとしての登板が大半だったMLB時代とは異なり、先発として大いに存在感を発揮。規定投球回までわずか8.1イニング届かなかったものの、18試合に登板して8勝6敗、防御率3.22と、持ち前の快速球を武器にNPB初年度から一定以上の活躍を見せた。

 2021年は7月終了時点で防御率6.13となかなか状態が上がらなかったが、2試合の登板で無失点と好投した8月を境に調子を取り戻し、10月には19イニングで自責点はわずか1という圧倒的な投球を披露。最終的な防御率も3.84まで改善させ、シーズンを通じた修正能力の高さを示した。

 2022年からはカージナルスと契約してMLBに復帰。19試合で防御率6.65と精彩を欠いたが、2023年は自己最多の60試合に登板し、5勝1敗14ホールドを記録した。3点台の防御率に加えて、61イニングで60奪三振と投球内容も大きく向上。NPBでの2年間を経て、世界最高峰の舞台でもその実力が通用することを証明してみせた。

■2020年からのNPB在籍時は「K/BB」で高水準、「WHIP」も平均下回る

 ここからは、NPBにおいてバーヘイゲンが記録した、各種の指標を見ていきたい。先発として150キロ後半をコンスタントに記録する速球を武器に、NPBでの2年間でいずれも投球回を上回る奪三振数を記録。NPB通算の奪三振率は9.32と非常に優秀な数字となっており、まさに本格派という形容が相応しい存在といえよう。

 それに加えて、2020年の与四球率は2.34、NPB通算の与四球率は2.69と、制球面でも優れた数字を記録していた。奪三振が多く、与四球は少ないという傾向は、投手として理想的な資質を持っていることを示している。

 その結果として、奪三振を与四球で割って求める、投手としての能力を示す指標の「K/BB」も高水準に達している。一般的に「K/BB」は3.50を上回っていれば優秀とされるが、バーヘイゲンは2020年が3.97、NPB通算が3.47と、いずれもハイレベルな数字を記録している。

 さらに、1イニングで出した走者数の平均を示す「WHIP」という指標でも、2020年は平均値の1.32を大きく下回る1.07を記録。通算も1.17と一定以上の数字であり、そもそも走者を出す機会自体が少なかったことがうかがえる。

■MLB復帰初年度は成績低下も…2023年には改善し自己最多60試合登板

 続いてMLB時代を見ると、通算奪三振率は7.48でNPBでの数字よりも低下が見られた。キャリア初期の2015年と2016年はともに4点台と極端に低かったが、2018年は8.47、2019年は7.91と、来日の2年ほど前から改善が見られていた。そして、NPBでのプレーを経た後の2023年には、8.85と十分に優秀と呼べる水準に達している。

 与四球率に目を向けると、2016年から2019年まで4年連続で3点台以下を維持し、2017年には2.36と優秀な数字を記録。MLB復帰初年度は5.82と大きく悪化したものの、翌2023年は3.84と改善を見せており、キャリアを通じて極端に制球に苦しむシーズンは少なかったと考えられる。

 その一方で、MLB通算の「K/BB」は2.03、「WHIP」は1.43と、いずれもNPBでの成績に比べて低下している。それでも、2023年の「WHIP」は1.28と平均値を下回っており、「K/BB」も2.31とキャリア平均を上回る数字を記録。2023年にMLBの舞台で重用された理由の一端が、こうした投球内容の向上にも示されている。

 近年のパ・リーグは、2022年途中に来日した元ア・リーグのセーブ王であるロベルト・オスナが、2年間で防御率0.92とまさに圧倒的な投球を披露。MLB通算155セーブを記録した実力を日本球界でも存分に発揮し、絶対的な守護神としてマウンドに君臨している。

 また、2021年から2シーズンにわたってMLBでプレーした澤村拓一投手も、2023年からロッテに復帰。34試合で防御率4.91と成績面ではやや精彩を欠いたが、日米で培った豊富な経験を若手の多いチームに還元。ポストシーズンでオープナーとして先発のマウンドを託されるなど、ブルペンの精神的支柱として2位躍進にも貢献した。

■シーズン終盤に状態上げる傾向…夏場すぎから本領発揮も

 バーヘイゲンもMLB通算206試合に登板した経験を持ち、日米双方の球界で結果を残したという実績を持つ。それに加えて、2022年にはアルバート・プホルス氏とヤディアー・モリーナ氏という2人のレジェンドの現役最後のシーズンに同僚としてプレーするという、得難い経験をしている点も興味深いところだ。

 澤村と同じく、日米におけるさまざまな経験を若手に還元する役割も果たしてくれる可能性はあるはず。戦力面でのプラスだけにとどまらず、成績面の数字以上の上積みをチームにもたらす存在となるかに注目したいところだ。

 NPBでは先発ながら高い奪三振率を記録し、MLBでは中継ぎとして2023年に大きな進化を遂げてみせたバーヘイゲン。先発・リリーフの双方で実績を残したマルチな才能は、投手陣の底上げが急務となっているチーム事情にもマッチする可能性が高いはずだ。

 オープン戦では持ち味の速球が走らずに不振に陥っていたものの、NPBでプレーした2年間においては、ともにシーズン終盤に状態を上げる傾向にあった。そのため、夏場を過ぎたあたりから本領を発揮する可能性も大いにあることだろう。

 MLBのセットアッパーへと成長を遂げた2年間を経て、剛球右腕は日本のマウンドで期待通りの活躍を見せられるか。世界最高峰の舞台で打者をねじ伏せた快速球を再び日本のマウンドで披露できれば、チームにとってもこの上なく大きな「補強」となるに違いない。(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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