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WBCで時の人も…SNSで“不要論”「見ないようにしていた」 ヌートバー母が明かした不安

Full-Count / 2024年7月14日 7時20分

侍ジャパンで活躍したラーズ・ヌートバー【写真:Getty Images】

■ヌートバーの母、久美子さんが振り返るWBC

 結果的には“大当たり”だった。カージナルスのラーズ・ヌートバー外野手は昨年3月に行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日系選手として初めて野球日本代表「侍ジャパン」に選出された。“タツジ”の愛称も定着し、日本中を熱狂の渦に巻き込んだが、選出当初は疑問の声も多かった。

 2023年3月9日、満員の東京ドームは「タツジ」の大歓声だった。中国戦に「1番・中堅」で出場したヌートバーは初回先頭の第1打席で中前に運んだ。「あの1本で本当にホッとしました」。そう語るのは観客席から見ていた母、久美子さんだった。

 久美子さんは、WBCが始まるとヌートバー本人とともに、一躍時の人となった。ポジティブで明るいキャラクターは人気を博したが、同年1月に侍ジャパンに選出された際には不安しかなかったと振り返る。「日本語が話せないし、大丈夫かなって。(ヌートバー)本人も口には出さなかったけど、不安だったと思います」と正直な気持ちを吐露する。

 選出当時は決してポジティブな声だけではなかった。2021年にメジャーデビューした若き侍に意見は真っ二つ。否定的な声も多く、プロ野球OBの中でも「正直必要あるのかな」という人もいた。

 久美子さんも最初はSNSを見て一喜一憂していた。「『なんでこんなこと書くんだろう』とか『こんなこと書かれてる』とか」。しかし、知り合いの記者から「こんなのは見ないでいいです」と言われた。その後は覚悟を決めた。「見ないようにしていました」。


ヌートバーの母久美子さん【写真:川村虎大】

■メディア出演に迷いも…栗山監督から「どんどん出てください」

 テレビやメディアへの出演も最初は迷っていたという。ヌートバーが選出されて以降、沢山のメディアから出演依頼が寄せられた。ただ、自らが目立っていいものか――。葛藤があった。そんな中、テレビ出演を後押ししたのが栗山英樹監督だった。

 当時からヌートバーのことを「日本の方が絶対好きになってくれる」と確信していた栗山監督は、母、久美子さんに対しても同じ感情を抱いていたのだろう。久美子さんにメディア出演がたくさん来ていることを知ると「お母さん、ぜひどんどん出てください!」と勧めた。久美子さんも「栗山監督が言うならって。朝4時とかから出演していましたよ」と、当時を懐かしむ。

 結果的にヌートバーは侍ジャパンのリードオフマンとして世界一に貢献。ペッパーミルパフォーマンスは日本中でブームとなった。「本当に栗山監督には感謝しかないですよ」。母国を背負って戦う息子の活躍は、久美子さんにとっても一生の忘れられない宝物になった。(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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