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平日も練習は「敷居が高い」…親子の悩み解決 高校球児が引き出す“隠れた野球熱”

Full-Count / 2024年7月18日 7時5分

鯖江高の野球教室「SABA CHIL」の様子【写真:SABA CHIL提供】

■福井・鯖江高で高校生が週1回小学生に野球を教える「サバチル」始動

 現役の高校球児が、“地域課題”解決のために動き出した。福井・鯖江高の野球部員が、小学生を対象とした野球教室「SABA CHIL」(以下、サバチル)を6月から実施している。福井県内のスポーツ少年団(軟式クラブチーム)は平日も練習を行うなど活発に活動する傾向が強いが、「子どもに野球をさせたいが、スポ少に加入するのは“敷居が高い”」と悩む保護者も少なくないという。そんな課題を解決するために、高校生が小学生に野球を教えようという取り組みとは、どのようなものなのだろうか。

 鯖江の「サバ」とチルドレンの「チル」を組み合わせて「サバチル」。対象はスポ少に加入していない小学3年生~6年生の児童だ。野球教室はウオームアップから始まり、キャッチボールや打撃練習、守備練習といった一通りの基礎練習をするほか、トンボのかけ方など技術面以外のことも伝授する。鯖江高野球部の2年生15人が練習メニューの考案や技術指導、保護者への連絡などすべての役割をこなし、学生主体の企画・運営を行っている。

 サバチルの最大の特徴は、野球教室を単発ではなく継続的に開いていること。毎週日曜日、練習試合後の午後3時半~午後5時半の2時間を使って野球部専用グラウンドで実施する。継続性を高めるため、参加者は「登録制」にしており、今月9日時点で21人の小学生が登録している。

 野球部員の活動をサポートする見延陽一監督は、「全国的にも単発の野球教室を開く学校は珍しくない。ただ、それが果たして野球人口増に直接つながっているかどうかは疑問に思います」と持論を口にする。そして「イベントごとで終わらずに、1か月に1回でも続けることで、参加者に『中学校でも野球を続けたい』という思いが芽生えるのではないでしょうか」と、継続することに意義を見出している。


投球練習をする子どもたち【写真:SABA CHIL提供】

■理想は「自転車に乗って1人で遊びに来て、練習を終えて自分で帰る」

「野球に飢えていた子、野球をしたいのにできなかった子が、これだけいたんだな」

 これまでに登録した参加者の約半数は、車で30~40分ほど離れた地域に住む児童。スポ少の「敷居の高さ」を肌で感じていた見延監督の予想以上に、あらゆる地域から子どもが集まった。週1回の活動であれば、参加もしやすい。子どもの隠れた野球熱の高さを知ると同時に、「県内には野球をさせたいけど、させられない保護者がたくさんいる」とも感じた。

 福井は、鯖江高のある鯖江市を含む「嶺北」と「嶺南」の2つのエリアに分かれる。「地域の子が自転車に乗って1人で遊びに来て、練習を終えて自分で帰るのが理想」と話す見延監督は、嶺北の他地域や嶺南にもサバチルのような活動が広まることを期待している。だからこそ、サバチルには「先駆者」にふさわしい取り組みが求められると考える。

「プロ野球選手を輩出したり、甲子園を目指す強豪校に進む選手を育てたりするのではなく、野球をしたい小学生のお手伝いをするのがサバチルのコンセプト」と見延監督。練習メニューを考案する部員の1人も「中学校に進んでも通用するような選手をつくり上げるのが僕たちの仕事」と胸を張った。

 すでに参加者の保護者からは「野球ができる機会を設けてくださって非常にありがたい」といった声が寄せられているが、活動はまだ始まったばかり。学生主体の継続的な野球教室のモデルケースを確立し、競技人口減少に歯止めのかからない少年野球界を変える一助を担う意気込みだ。(川浪康太郎 / Kotaro Kawanami)

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