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広島の入団テストで「完全に肘が飛んだ」 2つの後悔…指導に活かす“失敗基準”

Full-Count / 2024年7月22日 7時50分

川崎宗則(右)と流大輔氏【写真:流大輔氏提供】

■弟から学んだ“ノーサイド精神”…流大輔さんは「マイナスにならないことを徹底的にやる」

 本物に触れた体験と、味わった苦い経験が糧となっている。福岡県久留米市で野球塾「Shootingstar baseball academy(SSBA)」を運営する流大輔さんは、独立リーグ・高知ファイティングドッグス時代の監督だった定岡智秋さんを介し、ソフトバンク時代の川崎宗則(現栃木ゴールデンブレーブス)、本多雄一(現ソフトバンクコーチ)両内野手の自主トレに同行。一流のすごさを垣間見たという。Full-Countでは、全国の注目野球塾の指導方針やこだわりの練習法などを取材。現在の指導方針につながる出会いや出来事について聞いた。

 自主トレでの川崎と本多は、挨拶から始まり、ウオーミングアップのダッシュや、キャッチボールを1本1本、1球1球丁寧に行っていた。グラウンド整備ですら、打球がイレギュラーして怪我をするのを未然に防ぐため、常に真剣に取り組んでいたという。

「常勝ホークスの二遊間、プロの1軍で優勝チームのレギュラーがここまでするんだと思いました。一流選手がこんなことをしなくていいじゃないかということを、1月の1発目からやっていましたね」

 本多は、ダブルプレーを奪うための二塁トスを何時間も繰り返し行った。川崎もまた、意図的にグラブのウェブ部分で捕球してからスローイングをしたり、ノック後に5分間ほど椅子に腰掛けてから打撃練習に向かうことをローテーションで繰り返したり。いずれも実戦を想定して、自主トレから徹底的に準備にこだわった。

 名二遊間コンビから学んだのは、「自分がマイナスにならないようなことを徹底してやる」ことの重要性だ。「あれだけ仲のいい2人が、野球においては全く考え方が違っていたのも面白いし、学んだことはすごく大きかったですね」。


流氏が運営する「Shootingstar baseball academy」【写真:流大輔氏提供】

■甲子園まであと1歩も…失策を機に逆転負け「失敗を基準に教えています」

 競技は違えど、ラグビー日本代表でW杯に2度出場した弟の大(ゆたか)さんに対しても、プレーヤーとして尊敬の念を抱いている。「お互い体も小さかったですが、あれで世界と戦えるのは、本当にすごいなと思って見ていました」。その弟の試合を観戦して共感した「ノーサイド」の精神に感銘を受けた。

「負けた方は絶対に悔しいと思うんですけど、敗者と勝者の在り方というか、相手をとにかくリスペクトしてスポーツをやってほしいということを、ラグビーから学びました」

 流さんは独立リーグで盗塁王を獲得。夢のプロ入りへ手が届くまでの選手に成長した。しかし、広島の入団テストで、遠投の際に右尺骨神経を脱臼する大怪我に見舞われ、結果も不合格。翌年限りで現役生活に終止符を打った。

「完全に肘が飛んだ感覚がありました。翌年も手術はせずに、ずっと脱臼したままプレーしましたが、投げている感覚がありませんでした。持っているものを落としたりもしたので、お客さんの前でプレーするのは厳しいなと思い、引退しました」

 福岡の祐誠高校時代には、選抜出場がかかった2年秋の九州大会で、自身の失策がきっかけで逆転負けし、甲子園に届かなかった経験もある。失策と故障。この2つの「後悔」を、指導する上で大切にしていると語る。

「自分自身の後悔を基準に、子どもたちには、今もう少し頑張った方がいいよと伝えています。自分の成功体験をもとに指導をする方も多いですが、私自身は失敗を基準に教えているので、選手の気持ちはより理解しやすいのかなと思っています」

 SSBAの練習方法は、8月5日からの「少年野球個人練習EXPO」でも紹介予定。多くの一流選手から得た学びや、自分の後悔を子どもたちに経験してほしくないという思いが、流さんの指導の原点となっている。(内田勝治 / Katsuharu Uchida)

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