巨人OB、46歳監督が男泣き…大逆転演じた選手に感謝 溢れる涙「生徒って、スゲーな」
Full-Count / 2024年7月24日 7時30分
■1点ビハインドの8回に才田和空が起死回生の満塁走者一掃逆転二塁打
春3度、夏2度全国制覇している東海大相模高が、23日に横浜スタジアムで行われた夏の高校野球神奈川大会準決勝で、向上高に6-4で逆転勝ち。元巨人捕手で2021年9月に就任し3度目の夏を迎えている原俊介監督が思わず感涙したほどの劇的勝利で、指揮官として初の甲子園に王手をかけた。
試合終了後、会見に応じた原監督は声を震わせて涙をぬぐった。「僕のやることが空回りして、追いつかれて逆転されて……。自分自身、弱気になっていました。(和泉淳一)部長からの『選手を信じろ』というひと言で、よし信じようと。生徒が僕らを助けてくれました。素晴らしい熱い気持ちをくれました」
試合展開は一進一退。2回に2点を先制するも、5回に逆転され、その裏に三浦誠登外野手(2年)のソロで追いついたが、8回には捕手のパスボールに悪送球が重なり1点を勝ち越された。
絶体絶命。しかし東海大相模高打線はその裏、1死満塁の好機をつくると、才田和空内野手(3年)がカウント1-2からレフトオーバーの走者一層、逆転3点二塁打を放った。才田は「ストレートに絞っていました。ベンチに入れていない選手たちが全員で偵察などをしてくれて、そのデータ分析のお陰で、メンバー外の人たちの気持ちも背負って、(狙い球を)絞ることができました」とうなずいた。その姿に原監督は「あそこで打ち返すには相当な集中力と、相当な信じる力が必要だと思います。あの1打を目の当たりにした時、『生徒って、スゲーな』と思いました」とまた言葉を詰まらせた。
「(原監督の涙は)結構よく見ます」と才田はいたずらっぽく笑う。「大事な試合に負けた時などに、選手もそうですが、監督さんも勝ちたかった気持ちが崩れてしまうのだと思います」と説明する。前巨人監督の原辰徳氏、巨人・菅野智之投手らがOBとして名を連ねる名門を率いる重圧は、相当なものだろう。
■1995年ドラフト1位で捕手として巨人入り、引退後に東海大静岡翔洋監督も
その原監督は東海大相模高から捕手として1995年ドラフト1位で巨人入りした。2006年限りで現役引退後、2016年に東海大静岡翔洋高監督に就任。2021年9月には母校の監督となった。就任当初からコンビを組んでいる和泉部長は、東海大甲府で長年部長を務め、甲子園の経験も豊富だ。大学3年の時、学生の身で東海大相模高のコーチを務めた際、原監督が2年生で在籍していた縁がある。
和泉部長は「原監督は選手たちに熱くて、やさしいんですよ。まだ優勝した経験がないから、相手に勝ち越された時は少し弱気な雰囲気が見えた。僕から『まだ終わっていないし、負けていない。選手を信じて、思ったことを選手にぶつけなさい』と言わせてもらいました。こういう修羅場を何度もくぐり抜けないと、甲子園には行けません」と語った。
24日の決勝では、宿命のライバルである横浜高と激突するが、原監督は「選手たちがやってきたことを存分に出してもらえるように、僕は応援するしかありません」と謙虚に語った。熱血漢でちょっぴり泣き虫な46歳の監督のために、才田は「決勝に勝って、思う存分泣いてもらいたいです」と恩返しを誓った。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)
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