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自ら巨人退団から3年「野球が楽しい」 叶えた“東京D初安打”…23歳の現在地

Full-Count / 2024年7月26日 8時10分

三菱重工Westの元巨人・山下航汰【写真:町田利衣】

■三菱重工Westの山下航汰が2安打1四球で王者撃破に貢献

「第95回都市対抗野球大会」は25日、東京ドームで第7日が行われ、第1試合で三菱重工Westが昨年覇者のトヨタ自動車を9-2で破った。「9番・右翼」で出場した元巨人の山下航汰外野手が、2安打1四球2得点と勝利に貢献。かつては放てなかった快音に「野球が凄く楽しい」と笑顔が弾けた。

 2021年から三菱重工Eastでプレーし、今季からWestに移籍した。社会人野球はもう3年目になるが、この日は違った。2021年は都市対抗に出場できず、昨年は代打で1打席に立ったのみ。今年も1回戦の王子戦は出番がなかった。「スタメンで出るのが初めてだったので、独特の雰囲気を感じていました」。スタンドの応援や会社の期待を噛みしめ、東京ドームに立った。

 3回無死の第1打席は鮮やかな中前打を放ち、1死から元阪神・北條の120メートル弾で先制のホームを踏んだ。5回無死の第2打席は右翼線へ二塁打。同点に追いつかれた直後の7回1死二塁の第3打席は四球を選び、この回一挙7得点につなげた。いずれも貴重な役割を果たし「回の先頭として出塁したいなと思っていたので、ヒットが出てよかったです」と振り返った。

 2018年育成ドラフト1位で高崎健康福祉大高崎高から巨人入りし、2019年に支配下を勝ち取った。同年、1軍で12試合に出場して2安打を放っているが、実は本拠地だった東京ドームでは「H」ランプを灯すことはできなかった。

「1軍で出られずジャイアンツ球場でずっとやっていたので、あんまり特別なものはないですが……でも目指していた場所ではあるので、ここでヒットを打ったのはうれしいです」

 2019年にはイースタン・リーグの首位打者に輝き将来を嘱望されたが、2020年は右手首の骨折などもあり2軍でも4試合出場どまり。同年オフに育成契約となった。2021年オフには他球団での支配下契約を目指して巨人を退団。しかしNPBからの声は掛からず、活躍の場を社会人野球に移した。

 あれから3年が経ち「野球をやっている上では楽しみたいと思っているので、社会人野球独特の、一発勝負というのが凄く楽しいなと思っています」。自ら選んだ道を突き進む山下の表情には、確かな充実感がにじんだ。(町田利衣 / Rie Machida)

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