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名門進学を拒否「怖かった」…選んだ“無名校” 学園ドラマに植え付けられた恐怖

Full-Count / 2024年7月28日 6時50分

阪神で活躍した田村勤さん【写真:山口真司】

■田村勤氏は静岡・川根中で大活躍…様々な強豪校から誘われた

 現役時代に阪神、オリックスで活躍した左腕・田村勤氏は、静岡県榛原郡川根町立川根中学から県立島田高校に進学した。中学でエースとして静岡大会優勝も経験。多くの高校から誘いがあった中で、地元に近い島田高を選んだ背景には、TBS系列で放送されていた武田鉄矢さん主演の人気学園ドラマ「3年B組金八先生」の影響が大きくあったという。「野球留学した生徒の話があって、それを見て……」などと当時の心境を明かした。

 1980年、川根中3年の田村氏は野球部のエースとして大活躍した。「春の県大会で準優勝、ちょっとボールを小さくした少年野球大会では優勝しました」。もともと強いチームではなかったという。「それまでは県大会にも出ることがなかったんじゃないですかねぇ。たまたま僕の学年とか1個下とかに打てるヤツとか守れるヤツとかがすごい集まっていたんですよ。町は大盛り上がり。県大会準優勝の時は駅前で凱旋パレードみたいなのもやりましたね」。

 本格派左腕・田村氏の注目度もアップ。「春が終わった時点から静岡県内の私学、県立、いろんな高校から引っ張られるようになりました。今日はどこが来た、翌日はどこが来た、その次の日はどことか、みなさん通ってくださった。その頃の静岡は浜松商とか県立が割と強かったんですけどね」。その中で田村氏は甲子園出場が1度もない県立の島田高を選んだ。これに多大な影響を与えたのが“金八先生”だった。

「金八先生で、野球留学した生徒が肩を壊したか何か、怪我したっていうのがあったんですよ。それまでも、僕ら田舎だったので、都会のチームに出て行くとつぶされるとか、大成しないとか、ただ野球だけやるんじゃなくて、つぶしがきくようにやっぱり勉強もちゃんとやっていた方がいいという人が周りにいっぱいいたんです。僕も野球で一発やったろかより、野球で行って怪我をして肩身が狭くなるのが怖かった。それがドラマでもそういう感じだったんですよねぇ……」

■野球留学するも挫折…学園ドラマの内容に影響受け、公立校を選択

 武田鉄矢さん扮する中学校教員・坂本金八が、担任の3年B組の生徒たちの様々な問題と向き合い、解決していくドラマ「3年B組金八先生」は、田村氏が川根中学2年時の1979年10月26日にスタートした。「すごい視聴率でしたし、同級生もみんな見ていましたからね。だから僕もいつも……」。自身の進学先を考えると“金八先生”のその回の内容がどうしても頭をよぎったという。「ちょっとダブりましたね。怖いなってね」。

 私学の東海大一や東海大工に進むことも考えなかったわけではない。「そういう東海系のところからも話は来ていましたし、憧れもありました。でもね、自分の中ではそこまで本当の自信というのはなかったと思う。強豪校に行ってエースになれるという、そこまでの自信はなかったんじゃないですかねぇ……。高校生の体を見たら俺、あんなに大きくなれるのやろか、とかね。自分はそんなにデカくなかったし、体重もなかったので不安もありましたね」。

 そこに“金八先生”も重なったわけだ。「野球留学の成功例を出してくれたらよかったんですけど、失敗例が出ちゃったからですねぇ」と田村氏は当時を思い出しながら苦笑した。進学先には「野球はもちろん頑張るんですけど、ある程度、勉強でもついていけるところ」ということも重視した。その結果、選択したのが島田高だった。父・甲子夫さんからは強豪校への進学を勧められたそうだが「僕の中ではそこまで調子に乗れませんでした」とも振り返った。

「地元は川根高校なんですけど、当時、島田高校監督の芝田(耕吉)先生は、川根高校を初めて(静岡大会)ベスト8に連れていった監督なんです。以前、川根中学で先生が川根高校の練習をしたことがあって、その時の高校生はすごかった。先生のところに行けばあんなふうになれるのではって思ったこともあったんです」。実際、田村氏は島田高で芝田監督によって技術向上していくのだが“金八先生”次第ではその野球人生も変わっていたのかもしれない。(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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