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腱板は断裂、肩甲骨が変形…激痛で目を覚ます日々 福田秀平が明かす引退の真相

Full-Count / 2024年8月2日 7時30分

引退会見に臨んだくふうハヤテ・福田秀平【写真:福谷佑介】

■福田秀平単独インタビュー…怪我の影響で練習できず、細くなっていった体

 ソフトバンク、ロッテでプレーし、1日に現役引退を表明したくふうハヤテの福田秀平外野手が「Full-Count」の単独インタビューに応じた。引退会見で大粒の涙を流して号泣した福田が、引退の真相や18年間の現役生活、ハヤテで過ごした半年間などについて激白した。

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 もうボロボロだった。18年間の現役生活にピリオドを打つ決断を下したのは、体が悲鳴をあげていたからだ。2020年の開幕前に死球で負った右肩甲骨の骨折。それから4年経った今でも、福田を苦しめ続けていた。

「去年の段階で引退が頭にあった中で、肩の状態が良くなってきていたので、もう1年やりたい、もうちょっとやりたいというところがあったので、新たな場所での挑戦を決断しました。しっかり振り込みもできて、いいキャンプを過ごせていたんですけど、春先くらいからちょっと肩の状態がおかしくなって……」

 病院で検査を受けると、重い診断結果が待っていた。「腱板も断裂しているし、(上腕骨と肩甲骨の)骨の変形が加速しているっていう現状を突きつけられました」。痛みは増し、ボールを投げることもままならなくなった。当然、練習量をこなすこともできずに肉体はみるみると細くなっていった。「鏡で肩が細く、細くなっていく姿を見て、今後どうなっていくのか自問自答の日々でした」。

 今年からウエスタン・リーグに参入した「くふうハヤテベンチャーズ」に入団した。自分がNPB復帰を目指すとともに、NPBの1軍を目指す若い選手のお手本になる、という役割もあった。だが、痛みのある体では満足に練習もできない。「こういうチームに来たので、そういう姿も見せていかなきゃいけないっていう思いもあったので、練習量がままならない、もう引退だなって考えるようになりました。正直恥ずかしいくらいのパフォーマンスになっていたので……」。胸の中で抱えていたもどかしさ。役割を果たせなくなった今、自身の引き際だと悟った。

 この4年間、右肩の痛みから解放されたことはない。「痛みはもう毎日です」。起きている時だけではない。「寝る時も、寝ている間も夜間痛がありました。痛み止めを飲んで寝ることもありましたし、試合に出る時は常に痛み止めを飲んでいました」。寝返りを打った時に走った激痛で目を覚ますこともしょっちゅう。この4年間、満足にぐっすりと眠れた日は多くなかった。

 痛みに苦しんだハヤテでの半年間だが、福田は「改めて挑戦してよかったなって、本当に思います」と、晴れ晴れとした表情を浮かべる。決断に後悔はない。「この半年、後輩たちへの伝え方とか、そういう部分ではかなり勉強になりました。ここに来た時よりも、今の方が彼らに話す言動とかは変わったと思いますし、貴重な経験をさせてもらったのは感謝しかありません」。若い選手たちと過ごした日々は大きな財産になった。

■32連続盗塁の日本記録達成、NPBで2人しかいない大谷と山本から複数本塁打

 35歳になったベテランは今年、単身で静岡に乗り込んだ。球団からは1人暮らしを許可されていたが、あえて若手と同じ寮に入って寝食を共にした。「もう1回、イチからやろうっていう気持ちがあったんで。13年ぶりとかの共同生活で、そこで意外と年取ったんだなっていう風に思いましたし、1日1日が勉強だったなって思います」。量が決められていた夕食のおかずを多く取りすぎて怒られたことも……。そんな暮らしの1分、1秒も、福田にとって貴重だった。

 2006年高校生ドラフト1巡目でプロ入りして18年が経った。「高校から推薦が来るような選手ではなかったですし(多摩大附属聖ヶ丘)高校には受験勉強して入って、本当にプロに入るような選手ではなかった。1年目は相当なレベルの違いを目の当たりにして、絶対に無理だなって思いました。そこから親父の死もありましたけど、先輩方やコーチの指導のもとでちょっとずつ上達していけた」。4年目で1軍デビューを果たすと、人生のほぼ半分をプロ野球選手として過ごした。

 18年間のプロ野球生活で、1軍で785試合に出場。通算打率.229、29本塁打145打点という数字を残した。2011年から2015年にかけて達成した32連続盗塁成功の日本記録(当時)は「僕にとって誇れる記録」と胸を張る。今をときめく大谷翔平投手と山本由伸投手(ともにドジャース)からそれぞれ複数本塁打を打っているのも福田と、親友の柳田悠岐外野手しかいない。“エースキラー”と称され、数字以上のインパクトを残した。

 今季終了までは選手としてプレーを続けるが、今秋ドラフトでの指名を目指す若手たちに出場機会を譲るつもりでいる。「怪我もありましたけど、18年もプレーできたことは、今考えると夢のような時間だったな、と思います」。残されたプロ野球選手としての日々はあと2か月。ファンに愛された福田秀平が、ユニホームを脱ぐ。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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