“2部制”導入で変わった甲子園 初日の舞台裏、ナイターに戸惑いも疲労感は軽減
Full-Count / 2024年8月8日 9時21分
■開会式に合わせて午前4時半起床→試合終了午後9時36分の長い1日
第106回全国高校野球選手権大会が7日、甲子園球場で開幕。今年から“暑さ対策”として朝・夕「2部制」が導入されたことによって、舞台裏では様々な波乱万丈のドラマが展開された。早くも効果と課題の両方が浮き彫りになった格好だ。
大会第1日のこの日は、午前8時半から開会式が行われ、第1試合(有田工-滋賀学園)は同10時開始。終了後、気温が上昇する時間帯を避け、観客も入れ替えて、第2試合(健大高崎-英明)は午後4時開始。同6時52分に第3試合(岐阜城北-智弁学園)のプレーボールがかかった時には、すでに照明に灯がともり、ナイターとなっていた。
総じて選手たちに好評だったのは、第2試合だ。健大高崎が1-0で競り勝ち、春夏連覇へ向けて好スタートを切ったが、青柳博文監督は「特に試合後半は涼しかった。“選手ファースト”で高野連さんが決めてくださったことで、やってみるまではわかりませんでしたが、実際に効果があると感じました」と歓迎。「ベンチの奥の方からエアコンの風が吹いて来ていたのですが、試合途中に選手から『むしろ寒い』との声が挙がり、エアコンを切ったほどです」と明かした。
第2試合は開会式終了から試合開始までは長いインターバルがあり、健大高崎ナインはいったんバスで30分弱の所にある宿舎ホテルに戻り、休養を取った。青柳監督は「試合開始時刻がはっきり決まっていたので、うまく調整できました」。加藤大成内野手(2年)は「ベンチにいたら寒いくらいでした。午後1時とか2時に始めるのに比べると、だいぶ楽でした」と笑顔を浮かべた。
気温とは別のところで、対応に工夫をこらさなければならなかったのが第3試合だ。試合開始からナイターで行われ、延長11回タイブレークの末、智弁学園(奈良)が9-6で岐阜城北から劇的な勝利をもぎ取ったが、試合時間は2時間44分、試合終了時点で午後9時36分だった。開会式に合わせて、智弁学園ナインは午前5時、岐阜城北ナインに至っては午前4時半に起床していて、実に長い1日だった。試合終了時点で、ナイターで行われたプロ野球全6試合のうち4試合が終わっていて、残りの2試合は延長12回引き分けだったことからも、いかに遅くまで戦っていたかがわかる。
■開会式終了後、第3試合に合わせていったん宿舎へ戻り1時間半仮眠
智弁学園の場合は開会式が終わった後、いったんバスで30分の距離にある宿舎ホテルに戻り、午前10時半から正午くらいまで、約1時間半の仮眠を取った。先発して8回まで3失点(自責点2)に抑えた田近楓雅投手(3年)は、「仮眠するを時には部屋のカーテンを締め、真っ暗にしました。お昼頃から体を動かし始め、昼食後に選手全員でストレッチをしてから出発しました」と説明する。「ナイターは高校に来てから初めてでした。調整が難しかったですが、今日を(開会式から試合開始まで)どう過ごすかは、4日の組み合わせ抽選以降よく考えて、あらかじめイメージを持っていたことがよかったと思います」と笑顔を浮かべた。「気温は日中に比べたらだいぶ涼しくて、風もありました。足をつることもなく、普段より試合後の疲労感は軽減されました」とも付け加えた。
相手の岐阜城北の選手たちにとっても、ナイターは入学後初。細江京佑捕手(3年)は投手陣がサインを見やすいように、手の全ての指の爪に白いシールを貼り、普段よりゆっくりサインを出していたが、「それでも暗くて見づらかったようで、何度かサイン間違いがありました」と明かした。
やはり例年とは大きく異なる「2部制」の高校野球。8日の第2日と9日の第3日は、第1試合を午前8時、第2試合を午前10時35分開始に繰り上げ、その後インターバルを取って、第3試合は午後5時から行う予定だ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)
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