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黒→白へ…広陵が見せた“変化” 快勝につながった秘策、伝統破壊に「いいじゃないか」

Full-Count / 2024年8月13日 7時40分

熊本工戦に先発した広陵・高尾響【写真:加治屋友輝】

■「黒のヘルメットに生卵を落としたら目玉焼きができますよ」

 広陵(広島)は12日、甲子園球場で行われた第106回全国高校野球選手権大会の2回戦で熊本工と対戦し、2-1で競り勝った。春夏を合わせて52回の甲子園出場、3回の選抜大会優勝を誇る伝統校はこの夏、広島大会を勝ち抜き甲子園出場を決めた後に、突然ユニホームを一新した。黒の帽子、アンダーシャツ、ヘルメットを暑さ対策で白に変えたのだ。中井哲之監督は「白にして負けたら何を言われるか分からないので、勝ててよかった」と胸をなでおろした。

 試合後のお立ち台で「広島弁で言うと、“ぶち、うれしい”(とてもうれしい)」と相好を崩した中井監督。心なしか、普段よりも饒舌に見えた。それだけ“白デビュー戦”に重圧を感じていたのかもしれない。

 広島大会6試合は伝統の「黒」で勝ち抜き、2年連続25回目の夏の甲子園を決めた。このタイミングでのユニホーム変更は極めて異例だ。中井監督は「選手ファーストです」と強調する。6月頃、試しに白い帽子を購入してかぶってみると、予想以上に涼しさを感じた。

「特に黒のヘルメットは夏には表面温度がすごく高くなって、生卵を落としたら目玉焼きができますよ。白を着るか黒を着るかで、体感温度が10度は違います」と熱弁を振るう。スタンドでの応援に回る控え選手を含め、部員155人が同時に「白」でそろえることができるタイミングをうかがっていたという。

 高野連は昨夏から、各試合の5回終了時に10分間のクーリングタイムを設け、今大会では試験的に開幕から3日間「朝夕2部制」が導入された。それでも毎試合のように、熱中症ような症状を呈したり、プレー中に足がつったりして交代する選手が出ている。甲子園大会における暑さ対策は、待ったなしの状況だ。

■選抜優勝3回、悲願の夏初制覇へ切り札?

「もちろん事前に理事長、校長、OB会長にOKをもらいました。『いいじゃないか』と言ってもらいました」と中井監督。栄光が刻まれた伝統のユニホームを変えることに反対するOBもいそうなものだが「広陵の伝統とは、物事の考え方、歩んでいく道にあるはずで、そういう意味では広陵は全く変わらない。僕が知る限り、グズグズ言うOBの方はいらっしゃいません」とキッパリ。一方で「もしユニホームの胸のロゴを『KORYO』から『広陵』に変えると言ったら、怒られると思いますが、そうではありませんから」とおどけた。“前向きな伝統破壊”である。

 中井監督は1990年に母校である広陵の監督に就任。これまでに巨人・二岡智宏ヘッド兼打撃チーフコーチ、ソフトバンク・有原航平投手、広島・野村祐輔投手、上本崇司内野手、DeNA・佐野恵太外野手ら、後にプロで活躍することになる選手を数多く育ててきた。

 この日、1点ビハインドの7回に代打で登場し、逆転劇につながる貴重な四球を選んだ白髪零士内野手(2年)は「黒のユニホームで戦った広島大会に比べて、暑さがマシになった気がします。中井先生がおっしゃるのだから、効果があるだろうと思っていましたし、実際にあったと思います」と全幅の信頼を寄せている。9回を110球で投げ切り、1失点完投勝利を挙げたエース・高尾響投手(3年)も「涼しかったです」とうなずいた。

 広陵は過去に春の選抜を3回制しているが、夏は4回決勝まで進出しながら、深紅の優勝旗を1度も手にしていない。“ホワイト広陵”がユニホームとともに歴史を変えるか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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