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泣き崩れる「13番」が忘れぬ夜 “補欠”も衝撃.857…努力で掴んだ居場所「神様はいる」

Full-Count / 2024年8月17日 7時30分

東海大相模戦に「3番・一塁」で出場した広陵・松村悠叶【写真:小林靖】

■広陵・松村悠叶は今夏、初スタメン抜擢で躍動

 人間性は結果に現れる。第106回全国高校野球選手権大会は16日に大会10日目が行われ、第1試合で広陵(広島)が東海大相模(神奈川)に1-8で敗れた。この日「3番・一塁」でスタメン起用された、背番号「13」の松村悠叶内野手(3年)には忘れられぬ夜があった。

 試合後、控え室の隅でひとり泣き崩れている姿があった。松村は常に背番号をもらえるかどうかの瀬戸際に立たされてきた。そんな彼にこの2年半の印象深い瞬間を尋ねると必ず、仲間や指導者の話が出てくる。大会前に回答したアンケートの一枠に「最も印象に残っている思い出」を記入する欄があった。ナインが試合の思い出を記す中で、松村だけは「中井惇一先生にしていただいたミーティング」と答えた。

 昨秋はベンチ入りできず、足りない部分を必死に探した。悩みながらも必死にバットを振った。そんな姿勢を見た中井惇一部長は、寮の食堂で松村を励ました夜がある。全員が参加したミーティングで中井部長は「お前は頑張っているから大丈夫。スタメンに入れる力は持っている」と名指しで背中を押した。

 中井部長は「初めて全体の前で褒めました。人間性を評価しているんだよと伝えたかったんです。とびきり上手い選手ではないですが、このまま頑張ったらいいんだと。結果が出ない中で感じる劣等感とか、僕も下手だったので気持ちは分かりますから」と、しみじみと振り返る。

 思いがけぬ励ましに心を救われた。一心不乱に努力し、掴んだ背番号13。夏の広島大会では全試合に代打出場し、6打数5安打3打点。甲子園に来てからは熊本工戦でも代打でヒット。ついに3回戦の東海大相模戦で3番に抜擢された。中井哲之監督も「彼の努力や性格の明るさ、残した結果からの抜擢でした」と人間性も認めていた。

 この日は無安打に終わったが、今大会、十分すぎる貢献度だった。「真面目な性格に球が呼び込まれるというか。神様はいるんだなと思いました。1番かわいいですよ」と、中井部長は泣き続ける松村をずっと見つめながら笑った。

「この仲間でできて良かったです」。最後まで松村の涙は止まらなかった。悔しさを噛みしめながらも、最後まで仲間への感謝を口にした。(木村竜也 / Tatsuya Kimura)

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