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MLBスカウト注目 逸材も無名も同一視…“格差つくらない”「高3球児リーグ戦」

Full-Count / 2024年8月21日 7時50分

「リーガサマーキャンプ」に参加した52人の高校3年生【写真:石川加奈子】

■初開催「リーガサマーキャンプ」、早かった木製バット対応「実戦が足りなかっただけ」

 甲子園出場を逃した高校3年生による個人参加型のリーグ戦「リーガサマーキャンプ2024 in 北海道」が、今月9日から17日まで、栗山町民球場とエスコンフィールド北海道を舞台に開催された。プロや大学・社会人野球へアピールしたい選手や、3年間で不完全燃焼だった選手、実戦経験を積みたい選手など全国各地から52人が集結。4チームに分かれて、リーグ戦と決勝トーナメントの計15試合を戦った。

 球界初の試みを主催した一般社団法人「Japan Baseball Innovation」代表理事・阪長友仁氏は、エスコンフィールドで行われた決勝戦後、選手から感謝の胴上げをされた。トーナメントの一発勝負で力を発揮できなかったり、出場機会に恵まれなかった選手にリーグ戦という新たな場を提供した元甲子園球児は、「主催者が胴上げされるなんて初めてじゃないですか? 何が起こるかわからない。ミラクルですよね」と照れくさそうに笑った。

 選手名簿にも試合結果にも、選手の所属する高校名を一切載せなかった。「高校野球のヒエラルキーを持ち込んでほしくなかったから。野球は学校名でやるものじゃない。個人としてやってほしい」とこだわり、名門校の選手も地方の公立校の選手も同じ土俵に立たせた。

 リーグには最速149キロ右腕の石田充冴投手(北星学園大付)や、最速147キロ左腕の渋谷純希投手(帯広農)らプロ注目選手がいる一方、公式戦の出場経験がほとんどない選手や3年間ベンチ外だった選手もいた。選手間の力の差は問題にならなかったのだろうか。そんな問いかけに阪長氏は「全然心配していませんでした。チームがある程度均衡化されたら、変なことにはならないと思っていましたから」と答えた。チーム力に大きな差があれば、トレードを行う予定だったが、結果的には不要だった。

 指導スタッフとして参加した門真なみはや(大阪)の藤本祐貴監督も、「これまで試合に出ていなかった選手は実戦が足りていなかっただけ。ここで実戦経験を積んで一気にスキルが身に付いた。そういう子たちが、プロ注目の子からヒットを打ったりしていました」と個々の成長に目を見張る。


選手に胴上げされる阪長友仁氏【写真:石川加奈子】

■MLB、NPB、独立リーグや大学関係者も…新たなマッチングの可能性

 成長と言えば、ルールとして定められた木製バットへの順応も早かった。初日は全体的にバットの出が良くなかったため、ミーティングを通じて振るように意識付けすると、リーグ中盤以降は鋭い打球を飛ばす選手が続出した。決勝では若井勇輝外野手(神奈川・桐蔭学園)がエスコンフィールドの左翼に3ランを放り込んだ。

 選手のコンディションを最優先にしたリーグだった。2日目に捕手が足をつると、翌日から捕手の出塁時には臨時代走を送ることが決まった。選手が足をつったケースはこの1度だけだった。

 状況に応じて柔軟にルール変更を実施。9イニングではなく、7イニングで試合を行うこともあり、コーディネーターとして登録されたボランティアの大学生が出場することも。指導に訪れた元ロッテの荻野忠寛氏と元ヤクルトの大引啓次氏がゲームに入り、プロの技を披露する場面もあった。

 今回のサマーキャンプには、選手視察のためにスカウトも顔を見せた。メジャーリーグが1球団とNPBが4球団。独立リーグ4チームのほか、大学野球関係者の姿もあった。今後認知度が上がり、視察の場としての価値が高まれば、新たなマッチングが生まれるかもしれない。

 このキャンプを阪長氏は来年以降も開催を続ける計画だ。「どうなるかわからないところから、本当にいろいろな方に助けていただきました。僕1人の力ではできなかったこと。一緒に取り組む中で築くことができた信頼関係は、かけがえのない財産です。それを次につなげていきたい」と力を込める。舞台はもちろん北海道。甲子園とはまた別の場所で、さまざまなドラマを持った高校3年生の熱い夏の戦いが来年も見られそうだ。(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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