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勝利の裏で苦悩「喜べなかった」 監督は涙…背番号13が立った“最初で最後”の打席

Full-Count / 2024年8月22日 7時30分

関東一戦に出場した神村学園・玉城功大【写真:中戸川知世】

■好返球でゲームセットも…今大会初打席で結果を出した玉城

 最後の最後で、努力が報われた。神村学園(鹿児島)は21日、第106回全国高校野球選手権大会の準決勝で関東一(東東京)に敗れ、初の決勝進出を逃した。1点ビハインドの9回、2死一、二塁で代打で中前打を放った玉城功大(たまき・こうた)外野手(3年)は、これが今大会初打席。相手の好返球で同点打とはならなかったが、これ以上ない場面で自分のパフォーマンスを発揮した。

 3年間の集大成を見せた打席だった。1点を追う9回、連打で1死一、二塁のチャンスを作ると、7番の木下夢稀内野手(3年)は中飛に倒れ、玉城に打席が回ってきた。「やりきるしかないなと」。心の準備はできていた。

 低め直球をとらえて、打球は投手の足元を抜けていった。「帰ってきてくれ」。一塁へ走りながら、味方の生還を祈った。しかし、関東一の中堅手、飛田優悟外野手(3年)の好返球で本塁アウトとなり、玉城は一塁ベースを少し越えたところで倒れこんだ。

 同点打とはならなかったが、試合後に小田大介監督は「悔しくて、出られなくて、なかなかモヤモヤすることろがあったと思うんですけど、最後1本、漢を見せてくれたので、よく頑張ったなといってあげたい」と一打を称えた。

■1年秋からチームを支えるも…甲子園では背番号2桁に

 小学生時代にはU-12にも選ばれ、強豪の神村学園では1年秋から背番号7を背負っていた。今春の選抜では大阪桐蔭との2回戦でスタメン出場。夏の鹿児島大会でも背番号7を背負ったが、今大会では13番となり、ここまで出番はなかった。

 甲子園でチームが勝利しても、なかなか心は晴れなかった。「気持ち的には苦しかった。甲子園に来てからも悔しい思いが強くて、仲間のヒットを心の底から喜ぶことができていなかった」。それでも、出番を信じて練習後もバットを振り続けた。チームは2年連続で夏の4強まで駆け上がるなかで、「レギュラーとかスタメンじゃなくて、みんなの期待に応えてやろう」と、気持ちには変化が生まれていた。

 その努力を、指揮官も見ていた。玉城について小田監督は「今大会なかなか出番がないなかで、朝から晩までバット振ってくれて……」と、心情を慮って目に涙を溜めた。「あれが玉城らしいなと思いながら、よく打ってくれたと思います」と話した。

 玉城は「正直苦しいことがほとんど。寮生活も苦しくて、なんでこんな苦しいことをやっているんだろうと思ったこともあった。でも、最後の最後でこうやって打てたのはやってきたことが間違いじゃなかったのかなと思う」。敗者にも、野球の神様は微笑んでいた。(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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