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「野球を続けていたら、死ぬよ」 元巨人左腕が救われた甲子園、東南アジアで大会開催

Full-Count / 2024年8月23日 8時20分

アジア甲子園開催概要を発表した元巨人・柴田章吾代表理事(右から3人目)【写真:楢崎豊】

■インドネシアで12月、第1回アジア甲子園大会の開催概要を発表

 元巨人の柴田章吾氏が代表理事を務める一般社団法人NB.ACADEMYは20日、インドネシア・ジャカルタで12月に開催される野球の「第1回アジア甲子園大会2024」の概要を発表した。柴田氏は愛工大名電(愛知)で甲子園に出場。明大を経て、巨人に育成ドラフトで入団した左腕。引退後に掲げた大きな夢の実現へ、確かな一歩を踏み出した。

 生きる希望は常に持ち続けている。一回、失い欠けたことがあったから。柴田氏は中学時代、国指定の難病・ベーチェット病を患った。全身に原因不明の炎症ができ、腸に潰瘍ができた。「野球を続けていたら、死ぬよ……」と周囲に言われたほどだった。

 甲子園の存在が支えだった。愛工大名電に進学後も病気との戦いが続いた。仲間やライバルたちと同じ練習をすることもできない。悔しかった。でも、聖地のマウンドに立つことを諦めずに信念を貫いた。そして、3年の夏、夢を叶えた。

 その成功体験が今も残る。自分のような苦境に立たされても、ひとつの目標で変われることができる。野球界の未来に繋がる活動をしていきたい。現役引退後、英語の勉強のために渡ったフィリピンで子どもたちに野球を教えていたことがきっかけで東南アジアへ野球振興をする夢を描いた。

 野球人口も少なく、環境が恵まれているわけではない。「目標になる場所を作ってあげたい」。脳裏に浮かんだのが、自分を救ってくれた甲子園だった。「アジアで甲子園のような大会を開催したい」――。壮大な計画が始まった。

 理想を語るだけでは実現はしない。行動に移すと、理解者も現れた。漫画家の三田紀房氏、元楽天球団社長の立花陽三氏、漫画編集者の佐渡島庸平氏らがサポートしてくれた。雪印メグミルクや吉野家などがその熱い思いに賛同し、協賛。大手企業も熱い思いに動いた。


マイクを持ってトークセッションを行う副理事の三田紀房氏(右)【写真:楢崎豊】

■今回は14歳から18歳、インドネシア国内から8チーム

 阪神電鉄の理解もあり、日本の野球文化を象徴する名称で、1回目の大会がジャカルタで開催される。今回は一歩を踏み出すことに価値を見ているため、参加チームは14歳から18歳の選手たちで結成されるインドネシアからの8チーム。将来的には「アジア全体で」と見据えている。この活動が始まり、回数を重ねていけば、必ず参加国やチームは増えてくると信じている。

 甲子園大会の第1回(全国中等学校優勝野球大会)の出場校も最初は10校。約100年の時を経て、大きな文化となった。地域が一体になることや、ブラスバンドの音色、迫力など「あの甲子園をそのままアジアに届けたい」と感動が国境を超えていくことを目指していく。

 日本の甲子園をイメージしてもらうために、エキシビションマッチも実施予定。元高校球児で構成した日本代表チームと、インドネシア選抜が対戦。出場選手は数名決定しているが、現在も募集中。甲子園への熱い思いを持ち、実際にプレーで魅了できる人が条件となっている。その他、聖地の雰囲気を再現するべく、吹奏楽部やチアリーディングも募集。希望者は同団体のホームページで随時、受け付けている。

 野球のルールは決して簡単ではない。プレーするにも費用もかかる。若い世代が興味を持っても、インドネシアでプレーを続けたところで、国内にはプロリーグはないため、早い段階で野球を辞めてしまう。しかし、このような“甲子園大会”の開催や、東南アジア出身の選手で結成されている独立リーグ・九州アジアリーグの佐賀インドネシアドリームズのようなチームの存在が、これまで発展はしてこなかった課題を解消していけるのではないだろうか。

 東南アジアで野球を広めていくには課題は山積みだが、大きな可能性は詰まっている。身体能力の高さだけでなく、日本の野球文化が浸透すれば競技人口は増えてくる。野球を切り口にマーケットの拡大も期待できる。柴田氏は「楽しいプロジェクトでワクワクします」。いずれは各国対抗戦で世界から注目される大会にしたい――。新しい希望を抱き、野球界へ還元をしていく。(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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