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戦力外→格闘家転向も「やってられない」 わずか2戦で異例の“引退”「冷めた」

Full-Count / 2024年8月23日 7時10分

横浜(現DeNA)、オリックスでプレーした古木克明氏【写真:湯浅大】

■古木克明氏はオリックスを戦力外となると格闘家転向を発表した

 横浜(現DeNA)へドラフト1位指名で入団した古木克明氏は、2007年オフにトレードでオリックスに移籍。翌2009年オフに戦力外通告を受けた。現役続行を目指して受けたトライアウトでもNPBから声はかからず、格闘家へと転身した。熱心な誘いがあって飛び込んだ格闘技の世界だったが「入った瞬間にやめたくなった」と振り返った。

 オリックスを戦力外となった古木氏は、12球団合同トライアウトに2度参加した。「野球をやりたい自分がいた。可能性がわずかでもあるなら、と思いました」。だが、NPB球団からのオファーは届かなかった。

 現役引退を決意。その後、発表されたのはなんと格闘家への転身だった。「格闘技団体関係者が知り合いにいて、僕がトライアウト終わった瞬間に声をかけてくれました。球団からのオファーがなかった。でも体も元気だから動かすことでまた日の目を浴びたいと。生活のこともあり、スマッシュ(格闘技団体)に入った方が安定していた。いろいろなことが絡み合って進んでいきました」。

 筋骨隆々の恵まれた体格を誇る古木氏だったが、飛び込んだ世界は想像を超えた。「これまでカッコいい世界しか見ていなかったげど、入った瞬間にやめたくなりました(笑)。30歳を超えて朝、昼、晩と休む間もなくトレーニングばかり。なんで俺はこんなことをしているんだと。本当にキツかったです。お金を稼ぐことはこんなに大変なんだと思いました」。

 約1年間の過酷なトレーニングを送るなか、2010年12月31日に行われる格闘一大イベントの「Dynamite!」でのデビューが決まった。「当初は開催も危ぶまれていました。だから自分も普通に生活していたのですが、いきなり開催が決まり、12月17日くらいに突然、僕の試合が決まったんです」。

■リングで浴びたスポットライトは「すごく気持ちよかった」

 対戦相手はボビー・オロゴンの弟、アンディ・オロゴン。対戦相手からは体重77キロならやる、という条件が出され、当時86キロだった古木氏は約2週間で10キロの減量を強いられた。「ずっと練習していたから搾り取るところがないんです。食事、水分を抜きました。量をかなり減らしたら体が全然動かなくて……10秒くらいで息があがるんです」。過酷な減量となったが「緊張していたのでお腹がすきませんでした。体重は76.5キロまで落とせました」。

 迎えた当日。立ったリングは「すごく気持ちがよかったんです。スポットライトを浴びて。満員の球場でチャンスに代打で向かうような。居場所に戻ってきた感覚。すごくホッとして、急に景色が晴れました。それまでの嫌なことが吹っ飛んだんです」。ある種の“快感”を得ることができた。

 試合は判定負けとなったが、意地を見せた。アンディの強烈な膝がボディに食い込み「オエ、って倒れそうになったけど、客寄せパンダみたいな試合にしたくなかった」と5分3ラウンドを戦い切った。

 翌2011年4月、海老名義隆(元明大ラグビー部選手)との格闘家2戦目。判定で待望の初勝利を決めた。しかしKOで勝利しなかったことに周囲から「ふがいない」との声が入ってきた。「もうやってられない。ふざけるなと思って辞めました。気持ちが冷めてしまった」。リングを去ることを決めた古木氏。格闘家として過ごすなかで、野球への思いも再燃していた。(湯浅大 / Dai Yuasa)

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