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チーム“最長”ブルペン待機も新発見の日々 「今日こそ!」…逸材23歳が見せた成長

Full-Count / 2024年8月30日 8時10分

オリックス・前佑囲斗【写真:真柴健】

■オリックス・前佑囲斗、待望の1軍マウンドで見せた進化

 爽やかな表情で、待望の1軍マウンドに向かった。オリックスの前佑囲斗投手が、27日のソフトバンク戦(みずほPayPayドーム福岡)で今季初登板。2点ビハインドの8回を任され、1イニングを1安打無失点に封じ、自身の役割を果たした。

 強気の投球を見せた。3番の栗原をフォークで二ゴロに仕留めると、続く山川をスライダーで空振り三振。2死になり迎えた近藤にはカウント3-2から右安打を許したが、正木を左飛に打ち取り、ゆっくりとマウンドを降りた。

 投じた22球に進化を見せた“待望”の1軍マウンドには、深い理由があった。今季初昇格は5月30日だったが、登板機会がなく6月10日に出場選手登録抹消となった。チーム事情だと理解しているため「投げる機会はなかったですけど、登板のチャンスがあると思って構えていました。登板できるかわからない状況でしたけど、絶対に出番が来ると信じて準備していました」と胸を張った。

 ファームで鍛錬を積む日々にも、成長を実感。イニング途中からの“火消し”やロングリリーフも担当。今季2軍では31試合に登板して3勝2敗、防御率は2.27と安定した投球を披露していた。

 今月15日に再びの1軍昇格。「今日こそ!」と臨む日々で、周囲からも「今日は(登板が)あるから、準備よろしくね」と伝えられていたが、ゲーム展開などからブルペン待機が続いた。

 この期間で、誰よりも長く過ごしたブルペンは「すごく居心地がいいです。(マチャド、ペルドモら助っ人も)めちゃくちゃ優しいですね。1軍、2軍で先輩との空気感が変わったりしないので、僕みたいな若手は過ごしやすいです」と笑顔を見せる。

 再昇格から約2週間後、待ちに待ったマウンドで無失点投球。安堵の表情でマウンドを降りた。「2軍でやってきたことをしっかり出せればなと。自分の中ではもっと理想はあるんですけど、状態はいいと思います。ここからもう少し(状態を)上げていけたら。ファームでも毎日続けることが大事だと感じていたので、1年間、その繰り返しだと思っています」。冷静に自身の立場を理解している。

■プロ5年目「今年は勝負の年。なんとか1軍に定着できるように」

 前は2019年ドラフト4位でオリックスに入団。昨季にプロ初登板を含む2試合のマウンドを経験し、昨オフは豪州ウィンター・リーグに派遣された23歳右腕だ。異国でのテーマは「フォークの強化と真っすぐの強度向上」だった。

 フォークはオリックス入団後に取得した球種で「昨年までは簡単に見送られていた」と自信を持つことができなかった。「今年は勝負の年。なんとか1軍に定着できるように」と気持ちを込めた2024年。思い切って腕が振れるようになり“変化”があった。

「フォークは真っすぐと同じ腕の振りで投げられるので、思い切っていくだけです。自分はスライダーを得意にしていたんですけど、落ちるボールがなかったので。今は迷いなく投げられます。真っすぐが持ち味。強いストレートと変化球の組み合わせで打者をアウトにして行ければと思っています」

 やっと掴んだ1軍登板のチャンス。1球1球に思いを込め、ポジションを勝ち取っていく。(真柴健 / Ken Mashiba)

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