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阪神入団会見で大胆発言「言わなきゃよかった」 甲子園で感じた後悔「全然違う」

Full-Count / 2024年9月3日 6時50分

元阪神・濱中治氏【写真:山口真司】

■濱中治氏は入団会見で「甲子園で場外ホームランを打ちたい」とブチ上げた

 1996年ドラフト3位で和歌山・南部高から阪神入りした濱中治氏(現野球評論家、関西独立リーグ・和歌山ウエイブスGM)は、入団会見で目標を聞かれて「甲子園球場で場外ホームランを打ちたいです」とブチ上げたことでも知られている。「いまだに言われますよ。そんなことを言っていたなってね」と苦笑するが、実はこれ、聖地の広さを全く知らずに発言していたという。「後になって何てことを言ってしまったんだろうと思いました」と頭をかいた。

 過去に1人も打ったことがないとされる甲子園場外ホームラン。実現させるには180メートル以上の飛距離が必要と言われている。それを当時18歳の濱中氏はプロでの目標に掲げた。高校時代から豪快なホームランを放ってきたとはいえ、なかなかのチャレンジ精神。その意気やよし。将来が楽しみな逸材とクローズアップされたものだが、実情はちょっと違っていた。

「担当スカウトの切通(猛)さんと加納(茂徳)さんに『目標を聞かれた時にインパクトのあることを言わなアカンぞ』って言われていて、ホントに今となっては恥ずかしい話なんですけど、そう言ってしまったんですよ」。濱中氏はさらにこう続けた。「その直後くらいに甲子園球場見学があって足を踏み入れた瞬間『ウワッ、広い』が第一印象で、それから思いました。『ウワッ、変なことを言わなきゃよかった』ってね」。

 濱中氏が甲子園の“実物”を見たのはその時が初めて。その大きさ、広さも何もかもよく分かっていない段階で“場外ホームラン目標”を口にしていたわけだ。「あの会見より前に甲子園を見ていたら、あんなことは言えていないと思うんですよ。だって、すぐに思いましたもん。こんなところで(場外アーチを)打てるわけがないよなってね」。

■2軍投手のレベルの高さに衝撃「球の質が全然違う」

 そんな“大胆発言”で幕を開けた濱中氏の阪神生活だが、最初はやはり戸惑いの日々だったという。「今までは2つ上の先輩としかやっていなかったので、30歳を超えた方と一緒に野球をやるということに凄く違和感がありました。僕らが入った頃は上下関係も厳しかったんで、プロも甘くはないなと思いましたね」。キャンプは高卒ルーキー組が別メニューだったことで何とかこなせたそうだが、2軍での実戦が始まると力の差をとても感じたという。

「球が速いピッチャーは高校の時もいましたが、球の質が全然違うんですよ。ベース上で伸びがあるというか……。変化球にしても曲がり幅が全然違った。こんなにレベルが高いのかってね。スピード感も違いました。正直、ホントにここでやっていけるのかな、2軍でもこうなんだから、1軍ってどんな世界なんだろうなって思いました。自分が1軍でやっている姿は全く想像もできなかったですね」

 大学進学の可能性もあった中、濱中氏がプロの道に進むことを決めたのは、高3の時に藤井寺球場での近鉄対阪神2軍戦を見て「これならやれるのでは」と思ったからだったが、入ってみたら「全然違いました」と言う。「例えばオリックスの左ピッチャーの金田(政彦)さん、後にタイトル(2002年に最優秀防御率)を取られた方ですけど、(1997年に)2軍で対戦した時は、どうやったら打てるんだろうってホント思いました。慣れるまでにはだいぶ時間がかかりましたね」。

 濱中氏は、そこから努力を積み重ねて“アーチスト”として成長していく。目標に掲げた甲子園場外弾まではさすがに無理だったが、滞空時間の長いホームランで虎ファンを何度も沸かせた。「あの時は何てことを言ったんだろうと思いましたけど、おかげでいまだに覚えてくれる人がいますしね。『甲子園で場外ホームランを打つって言っていましたね』って。インパクトはあったみたいですね」。笑みを浮かべながら、それもまた懐かしそうに振り返った。(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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